KEKキャラバン、12月は東京、京都、大阪、佐賀、栃木、兵庫、岡山、茨城に派遣

 

KEKでは学校や社会施設などで行われる授業のサポートとして、地方自治体、NPO等の団体が企画する講習会や勉強会などに講師を派遣しています。12月は東京、京都、大阪、佐賀、栃木、兵庫、岡山、茨城で実施しました。


調布市北部公民館で講演する藤本 順平 講師

12月5日(土)、調布市北部公民館(東京都調布市)にて、一般の方31名を対象に「ノーベル物理学賞でたどる標準理論の歴史 ふたつの対称性の破れがもたらすもの―」と題する講演を行いました。

KEKの紹介から講演はスタートし、素粒子についての解説を実施。ノーベル物理学賞の歴史を紹介しながら、標準理論について説明しました。続いて、CP対称性の破れと自発的対称性の破れについて解説。今年のノーベル物理学賞を受賞したニュートリノ振動についての説明も行いました。最後に、標準理論のまとめをしました。

アンケートでは、「標準理論の素粒子についてもっと勉強したいと思いました」、「南部先生をはじめとして日本の研究者のすごさをあらためて知りました。誇りに思います」などといった感想が寄せられました。


京都市立堀川高等学校で講演する橋本 省二 教授

12月7日(月)、京都市立堀川高等学校で、「素粒子と宇宙」と題する講演を実施しました。3年生96名が聴講しました。

講演では、今年のノーベル物理学賞を受賞したニュートリノはどんなものか、ニュートリノ振動とはなにかについて解説しました。続いて、ダークマターとはなにかを説明。素粒子の種類と基本相互作用について解説し、加速器の原理や測定器、検出器について紹介しました。ヒッグス粒子、CP対称性の破れ、宇宙初期、ビッグバン、力の統一について説明を実施しました。

アンケートでは、「素粒子と言うとても小さな世界を考えることで宇宙という大きな世界を考えることにつながっていくというのを初めて知りました」、「周りのものや身体もつくっているのにまだ分からないことがある素粒子の世界を解明していくのは面白いことだと思いました」などの感想がありました。


大阪府立大手前高等学校で講演する三原 智 教授

12月11日(金)、大阪府立大手前高等学校(大阪府大阪市)において、1、2年生41名を対象に「宇宙のはじまり、ビッグバンと加速器」と題する講義を実施しました。

最初にKEKの紹介を行った後、宇宙のはじまりと素粒子物理学との関係を説明。素粒子物理学がどのようなことを研究する学問であるのか解説しました。特に今回は具体例としてニュートリノ振動を取り上げ、ニュートリノ振動があるとなぜニュートリノが質量を持つことに繋がるのかということに重点をおいて説明しました。その後、加速器について簡単に紹介。最後に研究者になるためにどのようなことをやればよいか(日々心がければよいか)を講師の体験を基に話しました。また、事前に生徒らから寄せられていた質問に答えることも行いました。

参加した生徒からは、「宇宙には中心がなく、限りがないということを新しく知った」、「宇宙ってまだまだ分からないことばかりで、研究のしがいがありそうだなって思いました。将来、研究者等になるための参考になったと思います」などの感想がありました。


唐津市ふるさと会館アルピノホールでの霧箱の実演の様子

12月12日(土)、京都府精華町立東光小学校(京都府相楽郡)において、素粒子紙芝居と劇の実演、ならびに霧箱実験教室を実施しました。

12月13日(日)、唐津市ふるさと会館アルピノホール(佐賀県唐津市)で「みんなの科学広場in唐津」が開催され、KEKキャラバンでは、霧箱実習コーナーの講師を派遣しました。霧箱実習コーナーには小学生を中心に約50人が参加しました。


栃木県立大田原高等学校で講演する藤本 順平 講師

12月16日(火)、栃木県立大田原高等学校(栃木県大田原市)にて、「身近な加速器たち」と題する講演を実施し、2年生125名が参加しました。

講演では、KEKの紹介をした後、原子説について説明しました。続いて、加速器の仕組みや素粒子の世界がどんなものであるかを解説。加速器は、生命・物質の構造を探求するものであることを説明しつつ、加速器が創薬や医療応用にも活かされている点についても紹介しました。

実施後のアンケートでは、「大学の物理学科にも興味が湧いたのでこれを機に将来の幅を広げられたらいいなと思います。」、「物理という学問が宇宙を解明することができる学問だということを聞いて今まで面白くないと思っていた物理がとても素晴らしく面白いと思いました」などの感想がありました。


兵庫県立大学附属高等学校で講演を行う菊谷 英司 准教授

12月18日(金)には、兵庫県立大学附属高等学校(兵庫県赤穂郡上郡町)で、「これからの物理学」と題する講演を実施し、1~3年生32名が聴講しました。

講演は、西洋で物理学が芽生えてから現代に至るまでの物理学史の説明からスタートしました。その延長上にあるという形で「これからの物理」の話しを行いました。物理学も現代では原子核・素粒子を扱う分野と物性的な分野に大きく分かれていることを説明した上で将来の実験計画などの説明。大規模実験施設で研究が進むであろう方向性について紹介しました。

アンケートでは、「物理学の歴史について深く知ることができて楽しかったです」、「素粒子など難しい分野だったが、これからの発展にすごく興味をもち、自分も科学に携わっていけたらなと思った」などの感想が寄せられました。


つくば市立二の宮小学校で講演する高橋 将太 素粒子原子核研究所 広報コーディネータ

12月19日(土)、つくば市立二の宮小学校(茨城県つくば市)において、6年生104名を対象に、「素粒子講座」と題する講義と霧箱作成実験を実施しました。本キャラバンは、つくば市教育局が担当する「つくば科学出前レクチャー」によるものです。

最初に、研究者という職業についての講義を実施。研究者の仕事を紹介したり、どうやったら研究者になれるのかなどを説明しました。続いて、霧箱実験へ。まず、霧箱の概要を説明したうえで作成、観察を、観察後は、何が見えたかの解説を行いました。

アンケートでは、「放射線は身近なものからでていることにビックリしました」、「霧箱によって3人がノーベル賞をとっていることにおどろいた」などの感想がありました。


岡山県立岡山一宮高等学校で講演する小林 隆 教授

12月19日にはもう1件の派遣を実施しました。岡山県立岡山一宮高等学校(岡山県岡山市)において、「謎の素粒子ニュートリノで探る極微の世界と宇宙」と題する講演を実施し、1、2年生85名が聴講しました。

講演は、KEKの紹介からスタート。ニュートリノについて紹介した後、音叉を用いてニュートリノ振動を直感的に説明。さらに、東海-神岡間長基線ニュートリノ振動(T2K)実験の成果や今後の展望について解説しました。

アンケートでは、「ニュートリノの謎を解明することが色々な発見につながることがすごく驚きました」、「ニュートリノはまだ分からないことだらけだけど、その性質が分かれば今の技術ではできなかったことができるようになる可能性を感じた」などの感想がありました。

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