Belle Ⅱ測定器の扉、エンドヨークが閉じられました

 

今年2月に加速器の試験運転を開始したSuperKEKBプロジェクト。SuperKEKB加速器を使った実験で作り出される大量の物理事象を記録するBelle Ⅱ測定器は、来年の秋のデータ収集開始を目指し、着々と建設作業が進められています。6月23日には、Belle Ⅱ測定器の扉部分「エンドヨーク」を閉じる作業を行いました。


エンドヨーク閉め作業が行われたBelle Ⅱ測定器


エンドヨークが完全に閉じられ拍手をする国内外のコラボレーターたち

BelleⅡ測定器は、高さ約8m×幅約8m×奥行き約8mの大きさで、「ミュー粒子・中性K中間子検出器」「崩壊点検出器」「中央飛跡検出器(CDC)」など、加速器で衝突させて作り出した素粒子の軌跡やエネルギー、運動量を記録するための検出器が8種類内蔵されています。

今回エンドヨークを閉める作業を行ったのは、測定器内部の磁場を測定するためです。素粒子の動きを測定するためには磁石でその軌跡を曲げる必要があります。CDCはまだ入っていませんが、エンドヨークを閉めることで、運転開始後の測定器内部の磁場と同じような状況を作り出し、あらかじめそのデータを把握しておくことが磁場測定の目的です。測定したデータを基に、測定器と加速器双方の機材の調整を行います。


磁場測定器を開発したCERNの技術者ジュディシ・ピエール=アンジェさん


エンドヨークが半分閉められたBelle Ⅱ測定器

今回は、昨年に引き続き2回目の磁場測定で、欧州合同原子核研究機構(CERN)の磁場測定器のスペシャリストチームを呼び、4週間かけて調整を重ねながら測定器内部全体の磁場を測定します。測定器を開発したCERNの技術者のひとりジュディシ・ピエール=アンジェさんは、今回の測定のため1週間前に来日。「6か月かけてBelle Ⅱ測定器のための磁場測定装置をCERNで作りました。Belle Ⅱのチームとはメールでやりとりしながら作らなければならず、大変でした」と話していました。


Belle Ⅱ測定器の内部全体の磁場を測る磁場測定器

エンドヨークは、磁場を閉じ込めるための鉄心で、扉1枚が重さ200トン、表と裏2枚ずつで合計800トンにもなります。これを閉める作業は下部に取り付けられたハンドルを手回しすることで行います。Belle Ⅱ測定器建設に携わる国内外のコラボレーターが多数見守る中、およそ1時間かけて扉が完全に閉じられると、現場からは拍手が上がっていました。

磁場測定が無事に終了した後は、8月後半にはCDCのインストール作業が行われます。



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