KEKキャラバン、7月は岩手、神奈川、大阪、茨城、千葉、福岡、京都、山形、東京に派遣
#KEKキャラバン #トピックスKEKでは学校や社会施設などで行われる授業のサポートとして、地方自治体、NPO等の団体が企画する講習会や勉強会などに講師を派遣しています。7月は岩手、神奈川、大阪、茨城、千葉、福岡、京都、山形、東京で実施しました。
6月30日(木)~7月1日(金)と7月7日(木)~8日(金)の4日間、岩手県一関市内の中学校(一関市立磐井中学校、同本寺中学校、同室根中学校、同桜町中学校、同厳美中学校、同大原中学校)6校において、2年生(一部学校では1、3年生も含む)と教員466名を対象に「宇宙の法則を知るILC実験」と題する講演と霧箱観察実習を行いました。
一関市立磐井中学校(6月30日)の講義の様子
一関市立本寺中学校(7月1日)の実施風景
一関市立室根中学校(7月1日)での霧箱観察
講演はILC(国際リニアコライダー)実験の説明からスタート。続いて、「実験とは」どんなことなのかを、実際にボールを使った実験で説明。原子と 分子、素粒子についても解説しました。また、ILC実験がさぐる宇宙の法則とはどんなものなのかを紹介。最後に、霧箱を観察し、全員が放射線の飛跡の観測 に成功しました。実施後のアンケートでは「実験がとても大切なことが分かりました」、「アップ・クォーク、ダウン・クォーク、電子ですべての原子ができて いるということもわかりました」「ILCがどの様な事をするのか、何が目的かなどが具体的に分かった」「自分の体を小さな粒が通り抜けているということに 驚きました」「宇宙は粒でできているという言葉が印象に残りました」「霧箱でノーベル賞をとっていたことがわかった」といった感想が寄せられました。
一関市立桜町中学校(7月7日)の講演の様子
一関市立厳美中学校(7月8日)の授業の様子
一関市立大原中学校(7月8日)の講演風景
7月7日(木)には、秦野市立南が丘中学校(神奈川県秦野市)において「宇宙のはじまりと素粒子ニュートリノ」と題する講演を実施し、1~3年生316名が参加しました。KEKの紹介と素粒子物理学とはどんな研究をしているのかから講演はスタートしました。講演では、宇宙のはじまりの謎とニュートリノがどう関係しているのかを中心に解説。また、KEKで行われているニュートリノを使った実験(T2K実験)や、近年の世界各国でのニュートリノ実験競争についても紹介しました。アンケートでは、「宇宙にはまだ誰も知らないようなことがあり、限りのない広い宇宙なので1つの発見でもすごいんだろうなと思いました」「宇宙のはじまりやニュートリノの歴史などにとても興味を持ちました」などの感想が寄せられました。
秦野市立南が丘中学校で講演する高橋将太 広報コーディネータ
7月14日(木)、大阪教育大学附属高等学校天王寺校舎(大阪府大阪市)において、1、2年生17名を対象に、「巨大加速器とミクロの世界」と題する講演を行いました。講演では、KEKの研究活動を幅広く解説。ミクロな世界を切り開く加速器の役割とその応用研究について説明しました。実施後のアンケートでは、「加速器が医療や工業、農業で応用されていて、私達の身近なところに使われていたことに驚きました」「医学を学びたいと思っていたが、こちらの研究も楽しそうだと思った」などの感想が寄せられました。
7月16日(土)、茨城高等学校・中学校(茨城県水戸市)の大ホールにて、子ども大学水戸の学生を対象に「宇宙のはじまり、ビッグバンと加速器」と題する講演と霧箱観察実習を実施しました。小学3年生~中学2年生とその保護者約180名が参加しました。KEKの紹介から講演はスタート。ガリレオやニュートン、アインシュタインの業績を紹介しつつ「実験する」ということがどんなことなのか解説しました。原子概念について説明した後、霧箱観察を行い、小さな素粒子を観測する原理について説明しました。最後に、将来の計画、国際リニアコライダー(ILC)を紹介。実施後のアンケートでは、「未来の加速器ILCについての話が一番面白かったです。もし実現したら参加してみたいと思います」「色々な博士がいろいろな努力をしてここまでたどりついたのが面白かったです」とといった感想が寄せられました。
7月21日(木)には、デュープレックスセミナーホテル(茨城県守谷市)において、千葉市立千葉高等学校の1年生25名を対象に「KEK紹介―見学の前に」と題する講演を実施しました。講演では「大学共同利用機関」について説明。KEKにある、KEKB加速器とBelle-II測定器、放射光科学研究施設(PF)における研究内容、施設の説明などを実施しました。講演後のアンケートでは、「加速器がどのようなことで使われるのかわかった。その技術が普段の生活の中で使われているものもあり、驚いた」「素粒子物理学の奥深さは無限大だと思いました」などの感想が寄せられました。
子ども大学水戸で講演する藤本順平 講師(左)と千葉市立千葉高等学校の生徒に講演する菊谷英司 准教授(右)
7月22日(金)、福岡県立香住丘高等学校(福岡県福岡市)において、3年生80名を対象に、「加速器を用いた最先端の物質科学研究 ~量子ビームとチョコレートの意外な(!?)関係~」と題する講演を行いました。KEKの物質構造科学研究所で用いる4つのプローブについて、その特徴を紹介すると共に、回折の原理とそれを用いた構造評価についてごく簡単に説明を行いました。また、具体的な実験例としてチョコレートの結晶構造と美味しさ(食感)の関係について説明を実施。また、科学者がどのようなモチベーションで研究を行っているのかについて紹介しました。実施後のアンケートでは、「フォトンファクトリーなどの施設の研究内容・装置の説明がとても分かりやすくて理解しやすかったです」「身近な化学・物理をつきつめ、巨大な実験をすると様々な法則が分かり、面白いと思いました」などの感想が寄せられました。
7月23日(土)~25日(月)、浄土宗 常念寺(京都府京都市)において、せいか自然観察倶楽部が主催する「お寺でサイエンスNow!」が開催され、KEKでは、23日(土)に、素粒子紙芝居と劇の実演、ならびに霧箱観察実験教室の講師を派遣しました。
7月25日(月)、山形県立東桜学館高校(山形県東根市)において、3年生31名を対象に「宇宙の始まり-ビッグバンと加速器(高校物理の先にあるもの-ESDの観点から)」と題する講演を実施しました。KEKについて紹介した後、ESD(持続可能な開発のための教育)の観点について説明。素粒子原子核物理のような基礎科学でどう考えるか難しいと説明した上で、高校物理は概念が確立した内容だとして現実の研究の世界では「分からないこと」が多く、それを認識すべく研究が行われているという意味合いと捉えると前置きしてはじめました。素粒子・宇宙研究の最近の成果を引用しつつ、人類の自然認識がどこまで到達しているかを事例を挙げて説明。特に重力波検出とニュートリノ振動についてはやや詳細に紹介しました。最後に、山形大学には理学部に素粒子実験の研究室があること、医学部では重粒子線治療装置が建設中であることを紹介しました。アンケートでは、「物理や化学とか関係なく総合され、宇宙や素粒子があるのだと実感した」「疑問だらけでわからない面が多かったが、一つ一つ調べて理解したい、探求したいと思った」などの感想が寄せられました。
福岡県立香住丘高等学校で講演する山田悟史 助教(左)と山形県立東桜学館高等学校で講演する佐藤皓 名誉教授(右)
7月26日(火)~28日(木)、国立科学博物館(東京都台東区)において「2016夏休みサイエンススクエア」(主催:独立行政法人国立科学博物館)が開催されました。KEKでは、つくばサイエンスツアーオフィス 茨城県科学技術振興財団が出展する「君もノーベル賞科学者に!?:魔法の箱を使って、放射線を観察しよう!」に講師とアシスタントを派遣しました。1日5回、3日間で15回の講座で204名が参加。小学3年生以上の子どもたちが霧箱製作と観察に挑戦しました。講義では、KEKが加速器という大型の実験装置を使って、物質や宇宙が何からできているかを研究していることや、霧箱がノーベル賞を3つ受賞した実験装置であることを説明しました。その後、霧箱キットを製作し、普段は目に見えない放射線の飛跡を観察しました。観察後には、霧箱で何が見えたかや霧箱の原理の説明を行いました。講義の最後には、国際リニアコライダー(ILC)を紹介。「ILCは君たちが活躍する加速器。この中でILCで実験をしたい人は?」との問いかけに「参加したい!」という元気な返事が返ってきました。
サイエンススクエアでの実施の様子
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