KEKキャラバン、2016年度12月は茨城、大阪、佐賀、京都、栃木に派遣

 

KEKでは学校や社会施設などで行われる授業のサポートとして、地方自治体、NPO等の団体が企画する講習会や勉強会などに講師を派遣しています。12月は6件、茨城、大阪、佐賀、京都、栃木の2府3県で実施しました。

(1)12月4日(日)、いばらき子ども大学(茨城県つくば市)
筑波学院大学にて、いばらき子ども大学の会員児童を対象に「宇宙は何からできているんだろう」と題する講演を実施。小学4~6年生、約120名が参加しました。宇宙→太陽系→地球→......→原子核→クォーク、とだんだんと小さくなっていく順番にイラストを用意し、そこに描かれているモノについて回答してもらいながら、宇宙が素粒子からできていることを学習。今度は「素粒子」がどのようにして生まれたと考えられているかを解説しました。また、「研究」することとはどんなことなのか、まだ分かってないことだらけ、ということを紹介しました。実施後のアンケートでは、「うちゅうはビッグバンという大爆発から生まれたそりゅうしなどでできたのがふしぎだと思いました」、「世界の主な加速器の中にKEKが入っていることがすごいと思った」といった感想がありました。

(2)12月9日(金)、大阪府立大手前高等学校(大阪府大阪市)
「宇宙のはじまり ビッグバンと加速器」と題する講演を実施し、1、2年生39名の参加がありました。宇宙が膨張している観測結果を説明した後、現在わかっているビックバン以降の宇宙の進展について説明。そのなかで宇宙初期の様子を理解するためには高エネルギーの素粒子反応を調べる必要があることを解説しました。その後、このような高エネルギーの素粒子を生成するための加速器の原理について触れた後、世界で運転中の加速器といくつかの代表的な実験に関して説明を行いました。最後に、研究者になるまでの自分の経験や研究者としての心得を紹介。また、波と素粒子との関係についても詳しく説明しました。アンケートでは、「巨大な宇宙を微小な素粒子から調べるというのは面白いと思った」、「理学部と工学部の違いが分かりやすかった」といった感想が寄せられました。

(3)12月11日(日)みんなの科学広場in唐津(佐賀県唐津市)
唐津市ふるさと会館アルピノホールで開催された「みんなの科学広場in唐津」において、KEKキャラバンでは、霧箱実習コーナーの講師と紙芝居の講師を派遣しました。小学生を中心に約50人が参加しました。アンケートでは、「見えない、見つけにくい素粒子がたくさんあることがわかりました」、「手軽な手段で放射線を『見る』ことができて興味深かったです」などの感想がありました。


いばらき子ども大学で講演する高橋将太 広報コーディネータ


大阪府立大手前高等学校で講演する三原智 教授


みんなの科学広場in唐津での紙芝居の実施風景

(4)12月12日(月)、京都市立堀川高等学校(京都府京都市)
理系の3年生およそ120名を対象に「素粒子・原子核と宇宙、素粒子・原子核研究の最前線と先端加速器、加速器の応用」と題する講演を実施しました。前半では素粒子、4つの力、力の統一、ヒッグス粒子、反物質、ダークマターとダークエネルギーについて、後半ではBファクトリー、大強度陽子加速器施(J-PARC)、国際リニアコライダー(ILC)や世界の主な加速器について説明し、世界最先端の日本の素粒子研究、素粒子研究をKEKが担っていることを、ニュートリノ実験など最近のトピックスも折り込みながら解説しました。特に長い目でみた基礎科学の重要性を大隅良典教授の(2016年のノーベル生理学・医学賞受賞)言葉を引用しつつ強調して説明。最後に、研究者として物理学を志したきっかけ、物理の醍醐味、研究者にとって必要な資質、影響を受けた人・思い出、どんな学生時代だったか、についてを簡単に紹介しました。アンケートでは、「粒子という小さなものから宇宙という大きなものが知れることは面白いと思いました」、「研究によって何に役立つのか分からないものを発見したあとに応用する方法が考案されたりそれを可能にする技術の進歩があって始めて科学が人間に役立つものにな り、どの過程も同様に重要なものだと感じた」などの感想がありました。

(5)12月13日(火)、京都府立鴨沂高等学校(京都府京都市)
3年生理系コース選択者25名を対象に、「最先端科学を支えるものづくり/キャリアパスを考えよう」と題する講演を実施しました。前半ではKEKで実施される最先端の科学とはどのようなものか、またそれらが我々の生活とどのように関わるのかについて講義しました。後半では実際に高エネルギー物理学の実験計画においてどのようにものづくりが進められるのかを例示を用いて説明。加えて、KEK職員を仮想目標としてどのような形でキャリアパスを考えるべきかについて、そこから派生してどのような意識で学業に取り組むべきかということについての話をしました。実施後のアンケートでは、「(加速器が)MRIなど、いろいろなことに技術を使っていることがわかりました」、「志を立てるのに早過ぎるということはない、という言葉が印象に残った」などの感想が寄せられました。

(6)12月16日(金)、栃木県立大田原高等学校(栃木県大田原市)
「物理学とは何か」と題する講演を行い、2年生、106名が聴講しました。講演は、KEKと欧州合同原子核研究機関(CERN)の紹介からスタート。、物理学と自然の法則の解明について説明し、原子論の確立、加速器の登場、標準理論について解説しました。最後に、将来の実験としILCを紹介しました。実施後のアンケートでは、「ダークマターは、未だ解明されていないので、もっと勉強して解明したいなと思った」、「今でもわかっていないことが多く『これから』に期待できる学問だと知って物理にますます興味が湧いてきた」などの感想が寄せられました。


京都市立堀川高等学校で講演する佐藤皓 名誉教授


京都府立鴨沂高等学校で講演する岡田竜太郎 技術職員


栃木県立大田原高等学校で講演する藤本順平 講師

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