機械学習により実験計画の自動決定が可能に 〜「学習」と「予測」でX線スペクトル測定の高効率化に成功〜

 
  • 高エネルギー加速器研究機構
  • 量子科学技術研究開発機構

概要

高エネルギー加速器研究機構(KEK)物質構造科学研究所の小野寛太准教授と量子科学技術研究開発機構(QST)量子ビーム科学研究部門の上野哲朗主任研究員を中心とする研究チームは、人工知能(AI)技術の一種である機械学習を用いて物質・材料研究に不可欠なX線スペクトル測定を高効率化する手法を開発しました。 X線スペクトル測定は物質・材料の機能や性質を支配する電子状態を調べるための 実験手法であり、物質・材料研究において頻繁に用いられています。 X線スペクトル 測定の高効率化は、物質設計・物質合成・測定からなる研究サイクルを迅速に回して新たな物質・材料を開発していく上で不可欠です。

本研究では機械学習の一種であるガウス過程回帰をX線スペクトル測定に応用することで、計測データの学習によってスペクトルを予測し、さらに次の計測データ点を自動的に決定する手法を開発しました。 これにより、従来の5分の1程度の測定時間で、これまでと同等の精度で、物理量を決定することが可能になりました。 本手法はX線スペクトル測定のみならず様々なスペクトル測定に応用することが可能であり、実験時間の短縮と実験コストの削減により物質・材料研究の加速化に貢献します。 この研究成果は、英国の学術誌「npj Computational Materials」に1月25日オンライン掲載されました。

発表のポイント

  • ・機械学習によってX線スペクトル測定の効率が飛躍的に向上、測定時間を1/5に短縮
  • ・計測データを学習し、スペクトルを予測することで実験計画を自動的に決定
  • ・実験時間の短縮と実験コストの削減により、物質・材料研究の加速化に貢献


詳しくはプレスリリース(PDF)をご参照ください。

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