ミクロな見た目の"かたち"で 材料の欠陥がわかる 〜放射光計測と応用数学による世界初の視点〜

 
  • 大学共同利用機関法人 高エネルギー加速器研究機構
  • 東北大学 材料科学高等研究所
  • 新日鐵住金株式会社

概 要

大学共同利用機関法人 高エネルギー加速器研究機構(KEK)物質構造科学研究所 の木村 正雄 教授、武市 泰男 助教は、東北大学 材料科学高等研究所(AIMR)の 大林 一平 助教、平岡 裕章 教授、新日鐵住金株式会社 先端技術研究所の村尾 玲子 主任研究員と共同で、金属酸化物の化学状態が不均一に変化する現象を放射光X線顕微法で観察し、応用数学の手法のひとつ パーシステントホモロジーを活用してその反応起点を特定するという、世界初の研究手法を開発した。
観察された不均一さの発生原因を細かく調べるのが従来の研究アプローチ。それに対して本手法では、不均一さの”かたち”そのものが様々な反応メカニ ズムを内包していることに注目し、ミクロな見た目の”かたち”だけから材料の欠陥を見いだす。言わば、「土と草と木が織りなす”かたち”から森全体を特徴づける因子を見つける」新たな研究視点である。さらに、対象物に関する科学的な知見や経験則などは不要で、先端計測手法により得られる膨大なデータから、材料のマクロ特性を支配する因子を簡単に見つけることができる。今回の実例に限らず様々な反応や分野に展開可能で、今後、機械学習や人工知能(AI)を用いた材料開発に不可欠なアプローチ法のひとつになると期待される。

この研究成果は、2 月 23 日 Nature Publishing Group の電子ジャーナル Scientific Reports に掲載された。

発表のポイント

  • 金属酸化物材料中の化学状態が反応により不均一に変化していく様子を、 放射光 X 線顕微法を用いて三次元で解明
  • 不均一さの”かたち”の変化を応用数学で解析することにより、材料全 体の特性を悪化させる起点を特定することに成功
  • 経験や予備知識に頼らず、膨大なデータから材料特性の支配因子を見い だす世界初の研究手法

詳しくは、プレスリリース(PDF)をご参照ください。

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