磁気渦の生成・消滅過程を100 分の1 秒単位で観測 -J-PARC MLF のパルス中性子を用いたストロボ撮影に成功-

 
  • 理化学研究所
  • 日本原子力研究開発機構 J-PARC センター
  • 総合科学研究機構 中性子科学センター
  • 東京大学

    理化学研究所(理研)創発物性科学研究センター強相関量子構造チームの中島多朗研究員、有馬孝尚チームリーダー、強相関物性研究グループの十倉好紀グループディレクター、日本原子力研究開発機構J-PARC センターの稲村泰弘副主任研究員、総合科学研究機構(CROSS)中性子科学センターの大石一城副主任研究員、伊藤崇芳副主任研究員、東京大学大学院工学系研究科の賀川史敬准教授、大池広志助教らの共同研究グループは、物質中の微小な磁気渦(「磁気スキルミオン)が生成・消滅する過程を、100 分の1 秒単位の時間分解能で観測することに成功しました。

    本研究成果は、次世代の情報記憶媒体への応用が期待される磁気スキルミオンの基本的性質を理解する上で重要です。さらに新たに確立した観測手法は、磁気スキルミオン以外にもさまざまな機能性材料でごく短時間にのみ現れる現象を研究する手段として利用することが可能です。

    今回、共同研究グループは、マンガンとケイ素からなる化合物MnSi で現れる磁気スキルミオンに対して、急激な温度上昇・下降を与えた際に起こる変化の過程を、大強度陽子加速器施設(J-PARC)の「パルス中性子ビーム」を用いて観測しました。その結果、温度の上昇によって磁気スキルミオンが消滅する様子や、急速な冷却過程で生成されたスキルミオンが本来存在できない低温まで「過冷却」状態で残る様子などを、100 分の1 秒単位の高い時間分解能で”ストロボ写真”のように観測することに初めて成功しました。

    本研究は、国際科学雑誌『Physical Review B』の掲載に先立ち、オンライン版(7 月23 日付け:日本時間7 月24 日)に掲載されます。

詳しくは プレスリリース をご参照ください。

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