機械学習によりX線吸収スペクトル解析の自動化が可能に-データの類似度に着目し定量的なスペクトルの解析を実現-
#プレスリリース #物構研- 高エネルギー加速器研究機構
- 東京理科大学
- 情報・システム研究機構 統計数理研究所
概要
大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構 物質構造科学研究所の小野 寛太 准教授と東京理科大学 鈴木 雄太 大学院生(研究当時:修士2年、現所属:総合研究大学院大学高エネルギー加速器科学研究科)は、統計数理研究所の日野 英逸 准教授らと共同で、機械学習を用いて物質・材料研究に必要不可欠なX線吸収スペクトルの解析を自動化・高効率化する手法を開発しました。
X線吸収分光法(XAS)は、物質・材料の機能と性質を支配する電子状態や化学状態の情報を得ることができる手法で、物質・材料研究において広く利用されています。XAS実験データを解釈し、必要な物理量を取得するためには専門家が目で見て判断する必要がありました。 本研究では機械学習の一種である多様体学習および、データの類似度の概念をX線吸収スペクトル解析に応用することで、XASに内包された物理量を自動的かつ高精度で予測すると共に、大量のXASデータを効率的に解析する手法を開発しました。さらに、スペクトルを比較するための適した尺度を検討することで、ノイズの極めて多いスペクトルからでも物理量を予測できることを示しました。本手法はX線吸収スペクトルのみならず様々な計測に応用することが可能であり、計測データの解析の効率化につながります。さらに、超高速現象や不安定物質の計測など、これまでは解析が困難であった極めて微弱な信号の解析にも適用できると見込まれ、今後の物質・材料研究の加速と新奇な物理現象の理解に貢献します。
この研究成果は、英国の学術誌「npj Computational Materials」に3月29日オンライン掲載されました。
研究成果のポイント
- ◇機械学習によってX線吸収スペクトルから物理量を自動で抽出することを実現
- ◇データ解析における解析者の主観を除き、客観的かつ高精度な定量分析に成功
- ◇ノイズの多いデータの解析も可能に。測定効率化や微弱信号解析への応用に期待
詳しくは プレスリリース をご参照ください。
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