ニュートリノの「CP位相角」を大きく制限 - 粒子と反粒子の振る舞いの違いの検証に大きく前進する成果をネイチャー誌で発表 -

 
図1:今回の観測結果と最も良く合うCP位相角の値(矢印)と99.7%信頼度で値をとることが許された範囲(白抜き部分)。理論的に取り得る値の範囲の半分近くを排除しました。
T2K国際共同実験グループ
  • T2K実験国際共同研究グループ
  • 高エネルギー加速器研究機構
  • 東京大学宇宙線研究所
  • J-PARCセンター

概要

T2K実験国際共同研究グループは、ニュートリノが空間を伝わるうちに別の種類のニュートリノに変化するニュートリノ振動という現象において「粒子と反粒子の振る舞いの違い」の大きさを決める量に、世界で初めて制限を与えることに成功しました。 CP位相角と呼ばれるこの量は、ニュートリノの基本的性質を示す量の一つであり、理論的には-180度から180度の値を取り得ますが、これまで全く値がわかっていませんでした。

今回の結果では、CP位相角の取り得る値の範囲の半分近くを99.7%(3シグマ)の信頼度で排除することに成功しました(図1)。 ニュートリノについての未解明の問題の一つである、粒子と反粒子が異なる振る舞いをするかどうかという問題に大きく迫る成果です。

この研究成果は、総合学術雑誌「ネイチャー」に4月16日掲載されました。

研究成果のポイント

  • ◆ ニュートリノ振動現象において粒子と反粒子の対称性の破れの大きさを決める量であるCP位相角に大幅な制限を与えることに世界で初めて成功
  • ◆ ニュートリノに、粒子と反粒子の性質の違いがあるかどうかの問題に大きく迫る成果であり、今後の測定精度を高めた検証が期待される

詳しくは プレスリリース をご参照ください。

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