電子陽電子入射器(LINAC)の総運転時間が20 万時間を達成

 

5月7日午前8時50分、KEKつくばキャンパスにある電子陽電子入射器(LINAC)の総運転時間が20万時間に達しました。

この電子陽電子入射器は1982年、フォトンファクトリー (PF) に2.5GeV電子の入射を開始して以来、1986年にはTRISTANに2.5GeV電子、陽電子を入射し、その後、PF-AR、KEKB、SuperKEKBへの入射と、文字通りKEKの先端研究の歴史を支えてきました。

2011年の東日本大震災では、柔構造設計の装置が落下するなど、特に入射器上流部に大きな被害を受けましたが、下流部に正常な装置を集めて同5月16日にはPF放射光リングに入射するまでに復旧したこともありました。その後、大幅な改造を経て2016年からはSuperKEKBに7GeVの電子と4GeVの陽電子の入射を続けています。また、2019 年にはPFとPF-ARを含めた4リング同時入射を実現することで飛躍的に実験効率を向上させました。

電子陽電子入射器は、電子ビームと陽電子ビームを作り、高エネルギーになるまで直線的に加速する装置です。電子ビームや陽電子ビームは、約100億個の電子や陽電子がそれぞれ直径1ミリ、長さ3ミリの塊となり、リングに入射されます。

今後のSuperKEKBの衝突性能向上に合わせて、加速装置の性能精度を大幅に向上させたり、パルス電磁石やエネルギー圧縮装置などを新規投入することによって、入射器のビーム電流を数倍に増やしながらビームを細くするという相反する性能向上の達成をねらっており、素粒子物理学や放射光科学の分野の研究にさらに貢献することができると考えています。

電子陽電子線形加速器
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