原子が振動しながら共有結合が形成されていく様子を直接観測-光化学反応において、初期の構造変化を10兆分の1秒単位で追跡-

 
今回の研究でわかった、光化学反応がスタートした直後の分子の動き(黄色:金原子、灰色:炭素原子、青:窒素原子、ピコはフェムトの1000倍、ナノはピコの1000倍)
  • 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構
  • 国立研究開発法人理化学研究所
  • 公益財団法人高輝度光科学研究センター

概要

高エネルギー加速器研究機構(KEK)、韓国科学技術院(Korea Advanced Institute of Science and Technology, KAIST)、韓国・浦項加速器研究所(Pohang Accelerator Laboratory, PAL)、理化学研究所(理研)、高輝度光科学研究センター(JASRI)は、日韓2つのX線自由電子レーザー(XFEL)施設を用いて、振動を伴って共有結合が形成されていく過程を、初めて直接可視化することに成功しました。

これは、KEK物質構造科学研究所の野澤 俊介准教授、深谷 亮特任助教、一柳 光平研究員、足立 伸一教授、KAISTのKim Jong Goo博士、Ihee Hyotcherl教授、理研 放射光科学研究センター ビームライン研究開発グループの矢橋 牧名グループディレクター、 JASRI XFEL利用研究推進室の片山 哲夫 主幹研究員らを中心とした共同研究グループの成果です。本研究は、KEKの放射光実験施設 フォトンファクトリー・アドバンストリング(PF-AR)で行われた研究を基盤として、理研のXFEL施設SACLAとPALのXFEL施設PAL-XFELを利用して行われました。この研究は、2015年に科学雑誌Nature誌に掲載された同研究グループによる研究成果を、さらに精密に解析した続編になります。

本成果は、Natureのオンライン版(英国時間6月24日16時、日本時間6月25日0時)、印刷版(6月25日付け)に掲載されまました。

研究成果のポイント

  • 量子ビームを高度に利用することで、光化学反応メカニズムを視覚的に解明する新しい測定手法を開発
  • 原子レベルの空間精度と、100フェムト秒(10兆分の1秒)の時間分解能を持つ測定を行うことで、原子の速い動きの中で結合が形成されて、光化学反応が進行していく様子を、構造変化の軌跡として実験的に可視化することに初めて成功
  • 本手法を用いて光合成等の様々な光化学反応を明確に理解することで、その反応を制御し、より効率よく利用することが可能に

詳しくは プレスリリース をご参照ください。

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