火山活動は、深層のマグマが地表に噴出することによって現れます。特に、地殻の割れ目や弱い部分では噴火が多いので、地上では火山として残ります。したがって、火山内部のマグマの動きが将来の火山活動を予知する大きな手がかりであると言えます。これまで、周辺の地震、重力の変化、地磁気の変動や地殻の電気抵抗などの測定を行うことによって、火山活動のメカニズムを解明する努力がなされています。

さらに、火山の内部を "見る" ことができれば、その活動を直接知ることができるようになります。それでは、どのようにして地球内部の見えないところを "見る" ことができるのでしょうか?

私たちは、体内の様子を知りたいときにはレントゲン撮影を利用します。これは、可視光よりも大きな透過力をもつ X 線を体に照射することによって、内部の密度の違いを映し出しているのです。例えば、骨と肉とでは密度が異なるので、レントゲン撮影によってはっきりとその像 (骨格写真) を得ることができます。可視光線はエネルギーが小さすぎるので、その大部分は表面での反射や体内での吸収によって失われます。だから、直接私たちの目では体の内部を見ることができないのです。

では、火山の内部を "見る" には、同様に X 線を用いれば可能なのでしょうか。残念ながら、X 線を使っても火山という巨大な物体を "見る" にはエネルギーが不足しています。X 線は、ほとんどすべて火山を構成している物質に吸収されてしまうのです。そこで考えられたのが、宇宙線として飛来するミュオン粒子を使う方法です。

それでは、具体的にどうやって火山を "見る" のかについて話を進めていきます。





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