第1部 レクチャー(講演)

宇宙のはじまりの「非常識」~唯物論から唯空論へ~

「宇宙は「無」から始まった。」宇宙の始まりの説明に、このようによく書かれています。どうして、何もないところから、こんな多くの物質とエネルギーに満ちあふれた宇宙ができたのでしょうか?ビッグバン宇宙っていうけど、エネルギーって保存するのではないの?宇宙のはじめにどんな「 非常識」なことが起きたの?その理解を進めるきっかけとなったのが、2012年のヒッグス粒子の発見です。ヒッグス粒子の発見により、我々の研究の対象は「粒子(物質)」から「真空」に移っていきました。「真空」「時空」と言ったものが宇宙をどうして作っていったのかをお話します。

浅井 祥仁(あさい しょうじ)

KEK 高エネルギー加速器研究機構
機構長

1995年東京大学大学院理学系研究科博士課程修了。
東京大学素粒子物理学国際研究センター長を経て、2024年4月高エネルギー加速器研究機構機構長に就任。

主な著作:
『ヒッグス粒子の謎』(祥伝社新書、2012年)
『LHCの物理-ヒッグス粒子発見とその後の展開-』 など