拠点について
拠点構想
時空が持つからくりを示す歯車と、それを虹彩に宿し時空そのものを見つめる「眼」。
人類に新しい眼を
「量子場」とは、生成・消滅する粒子や準粒子と付随する物理量を持つ時空のことを言います。この宇宙に存在する全ての物体と現象の根源に潜むものとも言えます。宇宙、素粒子、生命など、現代科学の大きな謎を解くためには、量子場へのアプローチが不可欠です。近年、量子場に関する研究が大きく進んでいます。量子場を計測するための新しいセンサーや、量子場を利用した新しい原理のセンサーも多数提案されるようになりました。そして、それが量子場についてさらに新たな知見をもたらしています。
こうした情勢を背景に、「量子場計測システム国際拠点(QUP)」は設立されました。QUPは、新しい量子場計測システムの発明・開発を目指しています。ここで言う「量子場計測システム」は、量子場「を」計測するという意味と、量子場「で」計測するという二つの意味があります。これは、世界を見つめるための新しい「眼」ともいうべきもので、宇宙観測や素粒子実験での計測に革新をもたらすことができます。そして、QUPは時空と物質の真の姿を解明しようとしています。
理論から実装まで
「量子場計測システム」は、量子場を検出するセンサーのみでなく、センサーが発した信号を取り出す集積回路や、それを解析する計算機といった装置全体まで含んだ概念です。これを創るためには、様々な分野の知識や技術が必要です。しかし、近年の研究の進展とともに研究分野が細分化し、個々の分野の研究者が、別々に研究を行う形となってしまっています。この結果、分野間で知識を共有することが難しくなってしまっています。
そこで、QUPでは、効率的に量子場計測システムの発明・開発を進めるために、素粒子物理、宇宙物理、物性物理、計測科学、システム科学の分野の研究者が集って研究を進めています。そして、量子場の新測定原理を発明・開発するための理論構築から、それを利用した新しいセンサーや集積回路、システムの開発、宇宙・素粒子研究プロジェクトや社会への実装までを、一気通貫に行っています。計測システムの実証には、QUPのホスト機関、高エネルギー加速器研究機構の加速器施設が活用できます。
素粒子物理、宇宙物理、物性物理、計測科学、システム科学の分野の研究者が集い、計測の研究を行う。
時計は時間、方位磁針は空間を測るために人類が使ってきた道具を意味し、背景に広がる時空はQUPが進む先を示す。
「手段」の科学
QUPが目指す新しい量子場計測システムは、新しい「眼」であるとともに、時空と物質の真の姿に迫るための「手段」でもあります。「手段」は、目標に向かって進むための道具、いわば目的地に連れて行ってくれる乗り物のようなものです。新しい乗り物は、目的地以外にも、様々な場所へ我々を連れて行ってくれます。QUPが作る新しい「手段」もまた、他の分野や社会への応用の筋道になります。
また、「手段」の研究を通じて、「手段の科学」として量子場計測システモロジーという新分野を創成することが、究極の目標です。
国際協力
QUPは、様々な分野の研究者が協力することで、新しい「眼」を開発・発明しています。これには、国際協力が不可欠です。QUPのホスト機関の高エネルギー加速器研究機構は、これまでに大規模国際共同実験を行い、大きな成果を上げてきました。この経験を活かし、大規模な国際共同研究を実施し、拠点として世界をリードしつつ、国内外の大学研究機関の研究・教育に大きく貢献します。
地球儀が世界中の研究者が協力していること、目盛りが「計測」に関する研究を行うことを示す。
ロゴについて
拠点の略称「QUP」を図案化し、顔のような造形にしています。
周囲を囲むのは、自分の尾をくわえて円環場となった蛇、ウロボロスです。無限、再生、循環などを意味するシンボルです。
この宇宙は、素粒子、原子核、原子、分子、星、恒星系、銀河、銀河団、宇宙と、スケールごとに階層構造をなしています。宇宙はマクロの極限というべきスケールを持っていますが、ミクロの極限の素粒子の世界の法則に支配されています。これを、ノーベル賞受賞物理学者グラショウはウロボロスの図を使って表現しました。これにちなみ、ウロボロスをデザインに取り入れています。
拠点発足時の拠点構想
■拠点の概要(PDF)
■拠点構想の概要(PDF)
■拠点構想(PDF)
■拠点長のビジョン(PDF)
■ホスト機関の取り組み(PDF)