メンバー

メンバー紹介

池田 智法

研究員
量子場計測システム国際拠点(QUP)

e-mailikedat-at-post.kek.jp

暗黒物質とは何なのか? 暗黒物質の正体に興味を惹かれる実験物理学者です。博士過程では神岡地下実験施設で行われているNEWAGE実験に参加し、ガス検出器を用いたWIMP暗黒物質探索実験に携わってきました。また、未だ高感度な観測が進んでいない、宇宙MeVガンマ線観測にも興味を持っており、2020年から京都大学のSMILE実験に参加し、電子飛跡検出型コンプトンカメラの開発も行ってきました。QUPでは極低温検出器を用いた新粒子探査に挑みます。

Research Content

2011年にヒッグス粒子が発見されたことにより、素粒子と力の相互作用を記述する標準模型が大成しました。しかし、「強いCP問題」(=強い相互作用において、電荷パリティ対称性の破れが観測されていない問題)と呼ばれる課題が残っており、標準模型の修正が必要とされています。 この強いCP問題を解決するために導入された新粒子がアクシオンです。アクシオンは太陽中の鉄の同位体から放出される可能性があり、これを地球に置いた検出器で捉えることが私の実験の目的です。

検出器でのアクシオンの反応に着目すると、アクシオンは一度鉄の同位体に吸収され、X線を放出します。この時、放出されるX線は単一エネルギーであるため、高エネルギー分解能な検出器であれば、アクシオンの信号を捉えやすいです。QUPで開発しているX線TESカロリーメータは非常にエネルギー分解能が高く、最高性能では2.8 eV@5.9keVです。この長所を活かしてアクシオンの発見を目指します。

© 2021 International Center for Quantum-field Measurement Systems for Studies of the Universe and Particles