東京理科大学卒業後、大学院博士コースでアメリカのテキサス大学に進学しました。テキサス大学では、ブルックヘブン国立研究所で当時まさに衝突が始まろうとしていた金の原子核の衝突実験である「STAR」実験に参加しました。重イオン原子核ビーム当時世界最高エネルギーのファーストライトを皆で祝い、まさに新たな実験が始まろうとする雰囲気に興奮しました。テキサス大学大学院の物理コースでは、世界各国から大学院生が集まっていて(実際アメリカ人は半分以下)、光学から複雑系まで、分野や研究室が違うながらも、留学生同士ということだったのか、横のつながりもあり、励ましあえたのが、今となっては特に良かったと感じています。PhD 取得後、アメリカのウィスコンシン大学でIceCube実験のポスドクを経て、日本に帰国。現在は日本で唯一IceCube実験に参加している千葉大学で、特任准教授として最高エネルギー宇宙ニュートリノの発見を目指して研究中です。
Ursula Bassler is deputy director of the Institute for Nuclear Physics and Particle Physics (IN2P3/CNRS) in France. After her PhD in particle physics at the University Pierre and Marie Curie (Paris) in 1993, she continues to study the proton structure with the H1 experiment at HERA, the unique proton-electron collider ever built at the DESY laboratory in Hamburg Germany. In 1998, she joins the DØ experiment at the Tevatron collider at Fermi National Accelerator Laboratory (FNAL) close to Chicago (US). This proton-antiproton collider was by then at the energy frontier and allowed in particular to study the properties of the top quark, topic in which she contributed to several analyses. Ursula Bassler was also responsible for the French hardware contribution to the Run II configuration of the experiment, the calibration system of the calorimeter. Between 2007 and 2013 she headed the particle physics division at the Institute of Research into the fundamental laws of the Universe - IRFU - at CEA-Saclay. Until 2015, she was then Scientific Deputy Director at IN2P3 for particle physics and computing.
ウルスラ・バスラー先生はフランスの核物理・素粒子物理研究所(IN2P3 / CNRS)の副所長です。
1993年にピエール・マリー・キュリー大学(パリ)で素粒子物理の実験で博士号を取得した後、ハンブルグ(ドイツ)のDESY 研究所HERAのH1実験で陽子構造を研究し続け、 1998年にシカゴ(米国)に近いフェルミ国立加速器研究所(FNAL)でテバトロン衝突型加速器のD0実験に参加します。この陽子・反陽子衝突加速器は 当時世界で最高エネルギーの衝突を実現し、特にトップクォークの性質を調べることのできるものでした。バスラー先生自身もその解析に寄与し、 さらにランIIにおけるフランスチームのハードウェア(カロリメータの較正)担当として貢献しておりました。
2007年から2013年までは、フランス原子力庁(CEA)サクレー研究所内にある宇宙の基本法則研究所の素粒子物理学部門のリーダーとなり、その後は 2015年までIN2P3の素粒子物理学と計算科学部門の科学次長でした。
Since 2003, Ursula Bassler participated in several national and international committees, such as CVI evaluating the activities of INFN in Italy, the scientific council of DESY in Germany. She took part in the evaluation of the starting grants of the European Research Council and was member of the LHC Committee at CERN and LBNE Committee at FNAL.
2003年以来、フランス国内および国際的な委員会に参加されています。
例えば、イタリアのINFN研究所の活動を評価するCVI、ドイツの DESY研究所の科学評議会などです。また、欧州研究会議の開始助成金の評価、CERNのLHC委員会、FNALのLBNE委員会のメンバー も勤めました。
Interested in outreach activities, she contributed to the Quantum Diaries, one of the first blogs about physics, directed « Collisions » a documentary and cross-media project on LHC and participated in a series of fictional-science podcasts on the “Noble Prize 2050”.
アウトリーチ活動に興味を持ち、世界中の研究者たちが参加した最初の物理学のブログ<Quantum Diaries>に参加したり、<Collisions>というLHCに関するドキュメンタリーを監督したり、「ノーブル賞2050」 という架空の科学ポッドキャストのシリーズに参加したりしています。
日常生活において、私たちのDNAは常に損傷を受けています。福島原発事故などで懸念されている放射線だけでなく、紫外線や、タバコ、さらにはストレスによってもDNAに損傷が誘発されると言われています。しかし、2015年のノーベル化学賞を覚えていますか?DNA修復の研究が受賞しました。そうです、私たちの細胞は、常に発生するDNS損傷を修復するシステムを数多く持っているのです。
現在、私は放射線などによって誘発されたDNAの傷を検出する技術を用いて体の中にどれほどの傷が発生し、そして修復されるのかを研究しています。
本公演では、DNA損傷と修復のお話を通して、老化や発がん、放射線の生物影響について紹介するとともに、オランダやアメリカに留学していた経験から、留学生活のいろいろもお話ししたいと思います。