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小角散乱を徹底討論!PF研究会を開催

物構研トピックス
2016年4月 1日

年度末の3月30, 31日に、KEKつくばキャンパスで、フォトンファクトリー(PF)研究会「徹底討論!小角散乱の魅力~基礎・応用・産業利用」が開催されました。小角散乱法は、広い角度範囲の散乱を計測し、サブナノメートルからマイクロメートルレベルまでの構造情報を得ることができる手法で、金属からソフトマター、タンパク質等の生体分子まで、さまざまな分野に広がっている測定手法です。PFでは近年小角散乱ビームライン・装置の高度化を重点的に進めており、より最先端の測定がユーザーフレンドリーな環境で使えるように整備されてきたのにともない、産業利用も含めてユーザーの裾野が大きく広がってきています。このような状況を反映し、PF研究会としては異例に多くの156名もの参加がありました。

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この研究会では口頭発表の他、46件のポスターセッション、パネルディスカッションと、さまざまな形式で徹底的に討論ができるようなプログラムが組まれました。小角散乱を用いる分野が大きく広がったことにともない、測定に対する要請も多様化しており、ユーザーはそれぞれ試料周りや測定法を工夫し、深さ方向の情報や多成分の試料の測定など、これまでに見えなかった情報を得ようとしています。初日は、そのような先端的な測定を行なっている研究者からの講演のあと、ポスターセッションをはさみ、次期光源のビームの特徴やそれを活かしたビームラインや手法等に関する講演が行なわれました。2日目は、本研究会の大きなテーマのひとつである産業利用に関する講演、若手研究者による講演、そして最後に行なわれたパネルディスカッションでは次期光源の実現によって可能になるサイエンスの展望を中心に、熱い議論が交わされました。これからのサイエンスは、個々のものを見るのではなく、系として捉えることが重要になり、そのためには不均質なものやゆらぎを観測することのできる次期光源の実現がぜひとも必要であるという強いメッセージで、2日間のプログラムを終えました。

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左:口頭発表、中:ポスターセッション、右:パネルディスカッション

プログラムなど、研究会の詳しい情報はこちらをご覧ください。