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ミュオンS1実験エリアに分光器インストール

物構研トピックス
2016年5月23日

J-PARC物質・生命科学実験施設(MLF)にて建設を進めてきた低速ミュオンビームライン(S1実験エリア、Surface Muon Beamline)に分光器が設置、インストールされました。

muon-s1.png
S1 実験エリアに設置された新しい分光器
S1 実験エリアの装置責任者、幸田章宏 研究機関講師(奥)と、元素戦略博士研究員の平石雅俊(手前)。写真奥から手前方向がビームの進行方向。リング状に配置されているのが、ミュオンから放出される陽電子を検出するための検出器Kalliope。

S1実験エリアはミュオンスピン緩和(μSR)を用いてバルク試料の物性を測定するためのビームライン。2013年度末より建設開始され、2015年10月末に初ミュオンビームの取り出しに成功しています。引き続き、ビームの質(試料位置における広がりと並行度)をあげる努力と、そのビームを利用するための分光器の調整が進められて来ました。インストールされた分光器は既にD1実験エリアで運用されているものと全く同じデザインで、陽電子検出器(Kalliope)の立体角は23%、チャンネル分割数は1280chであり、J-PARC MLFの世界最高強度のパルスミュオンビームを有効に使うことが出来ます。 この分光器は、最大磁場0.4テスラの常伝導電磁石と磁場安定性0.1マイクロテスラ以下のアクティブ磁場制御機構を持ち、物質の磁性・超伝導・水素状態などを様々な試料環境下で測定することが出来ます。

またD1実験エリアの分光器と全く同じデザインであるため、S1実験エリア分光器で開発された装置・ノウハウを、そのままD1実験エリアの一般実験課題でも利用することが出来る利点を持ちます。引き続きS1実験エリアでは、ビーム・分光器調整を進める一方、陽電子検出器 (Kalliope) のアップグレードと性能評価、自動測定・自動解析などの新機軸の開発を予定し、元素戦略ミュオン S 型課題での運用を行います。


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