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総研大 物質構造科学専攻修了の垣内 徹氏らの論文が第22回 日本物理学会 論文賞を受賞

物構研トピックス
2017年3月27日

 総合研究大学院大学・物質構造科学専攻を2007年に修了した垣内 徹(かきうち とおる)氏(現所属:ブラザー工業株式会社)と、当時の指導教員だった澤 博(さわ ひろし)氏(現所属:名古屋大学)らの論文が、第22回(2017年)日本物理学会論文賞を受賞しました。この賞は、独創的な論文の発表により物理学の進歩に重要な貢献をした研究者の功績を称えるために日本物理学会が授与しているもので、毎年5件以内の論文が表彰されます。

 対象となった論文は2007年に発表された Charge Ordering in α-(BEDT-TTF)2I3 by Synchrotron X-ray Diffraction〔放射光X線回折によるα-(BEDT-TTF)2I3の電荷秩序; 著者:垣内 徹, 若林 裕助(大阪大学), 澤 博, 高橋 利宏(学習院大学), 中村 敏和(分子研)*括弧内は現所属〕です。この研究を進めている当時、垣内氏は総研大の大学院生で、澤氏は指導教員であり放射光科学研究施設の教授でした。
 有機分子からなる分子化合物α-(BEDT-TTF)2I3は、温度低下によって金属-絶縁体転移を示す代表的な擬2次元分子性導体です。垣内氏らは、この物質に軌道放射光を用いた精密なX線構造解析法を適用し、実空間における電荷配列を定量的に決定しました。その結果、低温の絶縁体相が、理論的に予測されている特徴的な電荷秩序状態であることを実験的に初めて明らかにし、さらに電荷秩序相が非磁性状態をとることも示しました。
 本論文は、その発表後、この種の分子性導体の電荷秩序状態を放射光によって評価する研究のスタンダードになっているだけでなく、分子性導体の電荷秩序状態に関係した電子物性研究の基盤となる知見を与えました。この物質は、光パルスにより物性を制御できることから高速光スイッチなどへの応用も期待されており、様々な機能発現の起源に関する研究の進展に結びついていることも高く評価されました。

 表彰式は2017年3月19日、第72回日本物理学会年次大会において池田市民文化会館(大阪府)で行われました。

jps-award.jpg 表彰式で賞を受け取る 若林 裕助 氏(写真:日本物理学会ご提供)

2017年4月7日、写真を追加しました。

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