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2017年度量子ビームサイエンスフェスタ開催

物構研トピックス
2018年3月13日

3月2日(金)〜4日(日)の3日間、2017年度量子ビームサイエンスフェスタが開催されました。これは、放射光、中性子、ミュオン、低速陽電子の4つの量子ビームの総合的な利用促進を目的に年一回開催されているもので、今回は初めて水戸市を会場として、梅の花香る偕楽園にほど近い茨城県民文化センターには、3日間で524名の参加者が集まりました。





初日には、第9回MLFシンポジウムが開催されました。齋藤直人 J-PARCセンター長の挨拶に続いて、MLFの施設の現状や今後の予定について報告がありました。
MLF利用者懇談会では、課題審査などを中心にユーザーからの意見に施設側が答え、活発な意見交換が行われました。翌日からポスター会場に掲示されたMLFユーザアンケート回答集計の前には立ち止まって熱心に読む姿が見受けられ、関心の高さが伺えました。
午後にはデンマーク工科大学のS.Schmidt氏による特別講演を初め、J-PARC MLFのユーザーおよび装置担当者からの研究発表が行われました。並行してMLF見学会も開催されました。



齋藤直人 J-PARCセンター長
MLFユーザアンケート回答集計
S.Schmidt氏による特別講演
MLF見学会のようす


二日目は、MLFとPFの関係者が一堂に会する、量子ビームサイエンスフェスタが開催されました。開会のあいさつをした金谷利治 MLFディビジョン長は、今回初めて水戸で開催することで、J-PARCセンターとして積極的な貢献をしていく気持ちを表し、初の試みの不安をよそに、全国からたくさんの方にお集まりいただいたことに感謝すると共に、研究の交流の場として、大いに活用していただきたいと述べました。
基調講演では、高尾正敏 氏(元大阪大学/パナソニック)が「スモールをメディアムへ束ねる場・大型研究施設」と題し、物質・材料科学や工学は多様性を重視するいわばスモールサイエンスであり、潮流であるビッグサイエンスに対抗するための大型施設を活かしたマネジメントや新たなコンセプト(メディアムサイエンス)について講演しました。また、有馬孝尚 氏(東京大学/理化学研究所)は「物質科学者として量子ビームに何を期待しているか」と題し、物質科学の観測の歴史から、これからの日本の量子ビームサイエンスを高度化するに必要とされる事について講演しました。



金谷利治 MLFディビジョン長
高尾正敏 氏(元大阪大学/パナソニック)
有馬孝尚 氏(東京大学/理化学研究所)


シンポジウムの合間に開かれたポスターセッション会場では、今年も300件以上のポスターが掲示され、さまざまな分野の研究者が交流しました。学生奨励賞の審査も行われ、優秀な学生6名が奨励賞を受賞しました。午後からは、4つの会場でパラレルセッションが行われ、さまざまな分野の研究者とユーザーが活発に議論しました。

最終日には、第35回PFシンポジウムとMLF将来計画検討会が行われました。PFシンポジウムでは、平井光博 PF-UA会長が、来年度から物構研執行部とPF-UA執行部がそれぞれ新しく発足するが、今後も連携をとりながら進んでいきたいと開会のあいさつをしました。続いて、小杉信博 物構研次期所長が、物構研の20年の歴史と将来像について、施設の維持管理だけでなく研究開発や新たな研究者コミュニティーを育成していくことの重要性を述べました。

MLF将来計画検討会は130名を超える参加があり、物構研の瀬戸秀紀 副所長、鬼柳善明 日本中性子科学会会長、杉山純 日本中間子科学会会長を座長に、主に第2ターゲットステーション(TS2)計画について議論しました。その中で、中性子とミュオンの研究者・技術者間で、扱う時間スケールや使う用語が異なることが浮き彫りとなり、まずはお互いに学んで共通の土台固めをしようという認識で一致しました。また、人材確保などについての意見交換もあり、MLFの中とはいえ普段異なる現場で活動している面々が一堂に会することで、将来計画の策定に向けて意義の大きい会でした。



ポスターセッションのようす
PFシンポジウム会場のようす
MLF将来計画検討会のようす
休憩時間の一コマ


学生奨励賞の授賞式が行われた懇親会会場では、量子ビームサイエンスフェスタの 次期実行委員長となる 物構研 小野寛太 准教授から挨拶があり、次回のサイエンスフェスタはつくばでの開催となることを告げました。


学生奨励賞授賞式(左から)平井光博 PF-UA会長(群馬大 教授)、奥村拓馬 氏(東工大)、志賀翔多 氏(山形大)、野中洋亮 氏(東大)、味戸聡志 氏(群馬大)、藤牧拓郎 氏(山梨大)、清水光 氏(東大)、久保謙哉 MLF利用者懇談会長(ICU 教授)

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