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フォトンファクトリー将来計画検討委員会最終報告書の公表にあたって

IMSSからのお知らせ
2016年8月19日

この度、物質構造科学研究所運営会議の議を経てフォトンファクトリー将来計画検討委員会(2014年11月~2016年3月:佐藤衛委員長)の最終報告書を公表することとなりましたのでお知らせ致します。

フォトンファクトリー将来計画検討委員会最終報告書

最終報告書の公表にあたっての考えを述べさせて頂きます。

30年以上にわたり放射光科学研究施設フォトンファクトリーを運営してきた大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構(KEK)の次期放射光計画についての考え方は、2016年6月に書換えが行われたKEKロードマップに記載されています。そこには、次期放射光源として開発を進めてきたエネルギー回収型リニアック(ERL)計画を中止し、3GeVクラスの蓄積リング型放射光源計画を進めることが明記されています。

この計画を実行する上で、まずはKEKが理想と考える放射光施設とは何かを明確化する必要があります。それは、多種多様なビームライン群を備えた物質・生命科学の研究拠点として、世界最高水準の総合性能を有し、現実的な予算規模と時間スケールでの確実な建設と長期にわたる安定的運営が可能であり、幅広い分野のユーザー、特に次世代の学術界・産業界を担う若手ユーザーにとって魅力的なものでなければなりません。

その実現には、計画の概念設計書(CDR)を作成し、放射光の専門家の視点のみならず、幅広い視点からのレビューを受ける必要があります。KEKの次期放射光計画の策定は、KEKがその責務を担いますが、実現を目指すにあたっては、施設側だけの考え方でなく、コミュニティやユーザーの意見を幅広く反映するとともに、現存する他の放射光施設や放射光計画との連携や役割分担などを充分に考慮しなくてはなりません。全日本協力体制の最終形としての将来光源施設は「放射光施設は誰のもの?」との問いかけに、明確に答える必要があると考えています。

KEKロードマップの書換えの原動力となったフォトンファクトリー将来計画検討委員会最終報告書の作成に尽力して頂いた委員の方々に心よりのお礼を申し上げます。

物質構造科学研究所 所長 山田和芳