SuperKEKB 世界最高ルミノシティを今期も更新!

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SuperKEKBの今期(2021c)運転は10月19日に始まり、12月23日に無事終了しました。
今期の運転では、前期(2021b、4月1日〜7月5日)の運転に引き続き、衝突点の垂直方向ベータ関数を1 mmに絞った状態で徐々にビーム電流を上げてルミノシティの向上を図りつつ、Belle II測定器による物理実験を行いました。並行して様々な加速器スタディも精力的に進められました。ビーム電流は、入念な入射ビーム調整による入射効率向上や電流増加時の手順確立などの結果、12月18日に陽電子リング 1020 mA、電子リング 800 mA(1370バンチ)まで蓄積することが可能となり、運転終了までこの電流で安定に物理実験を行うことができました。ちなみに陽電子リング 1020 mAはSuperKEKBとなって最高値です(図1)。
12月23日には、瞬間ルミノシティ3.81×1034 cm-2s-1を達成し、世界最高記録を更新しました(図2)。また、1日の積分ルミノシティ、7日間の積分ルミノシティも、それぞれ2.22 fb-1、12.62 fb-1とこれまでの記録を塗り変えました。今期2021c運転の全積分ルミノシティは54.4 fb-1でした(図3)。この間11月10日~29日には、衝突エネルギーを通常のY(4S)=10.5794 GeVから10.657~10.810 GeVの範囲の4点に順次変更して物理実験を行う、いわゆるエネルギースキャンを実施し、各点で必要十分なデータを取得することができました。
次期2022a運転は、2022年2月21から開始される予定です。引き続き高いルミノシティを目指しつつ物理実験を行います。また、将来の性能向上のために必要な各種ビームスタディも計画されています。
 


図1:ビーム電流値の履歴(2019〜2021年)。陽電子ビームは今期、これまでの最高ビーム電流値を更新した。

 

図2:瞬間ルミノシティの履歴(2019〜2021年)。今期も世界最高記録を更新し、3.81×1034 cm-2s-1を達成した。

 

図3:今期の全積分ルミノシティと1日あたりの積分ルミノシティの履歴。Belle II測定器稼働中の記録を意味する「Recorded」が正式記録(図中の濃い緑と濃い青)。1日の最高積分ルミノシティは2.22 fb-1と前期までの記録(1.96 fb-1)を更新した。

 

文責: 加速器第3研究系主幹 末次 祐介

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