ハドロンファシリティグループの職務内容
ハドロンファシリティグループは、主に東海キャンパスを拠点に仕事を行っています。東海キャンパスでは、大強度陽子加速器J-PARCの素粒子実験施設があり、そこでは加速器で生成された陽子ビームを制御し、実験に利用できるようにすると共に素粒子原子核実験のサポートを行います。
ハドロンファシリティグループの特徴は、加速器と実験技術で必要とする、電磁石、電源、真空、実験装置、測定器開発の技術などを総動員して開発、製作、運転を行うところにあります。また、国内外の同様のグループとのつながりも強く、技術や設計のノウハウを共有しながら仕事をしています。
http://www.j-parc.jp/Hadron/ja/index.html
http://www.j-parc.jp/public/Hadron/ja/index.html
技術職員に必要な技術
下記の3つの技術を一通りマスターしてもらい、更に高度な技術を自ら開拓し、グループやコミュニティに還元していくことを期待します。
設計にかかわるスキル
もの作るためには、使用する目的を理解することが大切です。J-PARCの加速器を使った実験では、電磁石と言っても重量40トンもあるものや、強い磁場を作るためにDC3000Aの電流を流すコイル(電気導体)を用います。 最先端科学の実験ですが、電磁気学や機械工学は、実践を通して学んでいくことになります。また、技術者として人に伝え、沢山の人の手を借りてものを作ることが必要です。そのためにもCADによる製図は必須なスキルです。
材料物性や部品の知識
装置作りを任された時、それが従来からある装置でも、今までの部品が製造終了で、新しいものに置き換えないといけないことは良くあることです。また、冷却を良くするための高い熱伝導率の材料、大電流を流すための低抵抗の導体や腐食性ガスに強い表面を持った材料など、今まで関心の無かった特殊な材料が欲しくなることがあります。実際の設計・製作では、最新の部品の使い方や材料の物性の知識を蓄え、これらの知識と強度計算などのスキルを身につけて行きます。
先輩職員の声@
素粒子原子核研究所ハドロンビームライングループに所属している3年目の
キュートな女子職員です。現在、私は東京ドームの1.6倍もあるハドロン実験
ホールの中で空気隔壁の設置を行っています。私は大学院で物理を勉強してきま
したが、今は、全く経験のない分野に挑戦しています。この職場では、ゼロから
のスタートでしたが設計や開発試験を通して、現在、実際に設置出来る段階まで
来ることができました。最初から最後まで、何もかも初めてで分からないことも
多いですが、周りの先輩方にサポートしていただきながら仕事ができています。
また、1年目で念願だったクレーンやフォークリフトの免許を取ることができま
した。現場作業だけでなく、構造解析ソフトやCADについても勉強が必要です。
困ったり悩んでいたりすると多くの人たちが手を差し伸べてくれる職場です。
こんな私でも3年も働いてきたことに自分でもビックリです。 マイペースで
ちょっぴり抜けていて変にポジティブで周りを唖然とさせることも多い私です
が、一生懸命やってきました。
素粒子物理や実験に興味があるのなら、秘めたパワーを研究所で発揮してみてはどうですか。
先輩職員の声A
私は素粒子原子核研究所 一次陽子ビームグループに所属している2年目の技術職員です。
私の仕事は、加速器より取り出された一次陽子を実験室へ輸送するビームライン用電磁石に
電流(電圧)を供給するための電源の運転です。
J-PARCのメインリング(MR)で30GeVに加速された陽子ビームは、MRから分路して、二次粒子を
生成する標的、さらに標的から検出器まで電磁石が作る磁場によって輸送されています。ビーム
ラインで使用している電磁石の数はおよそ80台以上あり、それぞれの電磁石について、一台一台
異なるパラメータで運転される電源の整備と管理を行っています。
高専で電気を学び、5年ほど民間の会社で電子回路の設計を行っていました。一念発起し、
強電関係の仕事をしたいと思いKEKに再就職しました。いざ実験施設の電源装置を操作するには
一人では大変で、多くの人の協力が必要です。先輩方とチームを組み作業を行いますが、
電源の移動設置では、フォークやクレーンなど、配線作業には電気工事士の資格・知識を要します。
電源を外部から操作するためにネットワークやデータベースの知識も必要です。
ここでは、エレ/メカ/ソフトetc.の多岐にわたる知識を生かして仕事ができます。
皆さんも胸に秘めているパワーを発揮してみませんか。