第2回MLFシンポジウムを開催

 

1月17~18日、KEK内小林ホールにて第2回MLFシンポジウムが開催され、約200名の参加者と70件のポスター発表がありました。MLF(物質・生命科学実験施設の略称)シンポジウムはJ-PARCセンター・KEK物質構造科学研究所の主催により、産業界を含め、利用者による研究成果、施設の開発経過など双方向の情報交換をする場として年一回開催されているものです。

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前日からの雪が残る中、熱い議論を交わして頂きたい、という池田進副所長(物質構造科学研究所)の言葉を皮切りにシンポジウムは始まりました。初日、冒頭にて新井正敏共同議長(J-PARCセンター、物質・生命科学ディビジョン長)は「MLFが将来的にさらに発展できるよう、利用者の皆様からの意見と活発な議論を持って頂きたい。」と開会にあたって挨拶を述べました。また、藤吉尚之室長(文科省量子放射線研究推進室)は「グリーンイノベーションとライフイノベーションはこれから大事な分野です。大きな成果を創出していただき、国民の皆さんに認知され、社会に貢献していくという良循環となるようになってもらいたい。」と語りました。続いて永宮正治センター長(J-PARC)、下村理所長(物質構造科学研究所)、横溝英明理事(日本原子力研究開発機構)から挨拶がありました。

1日目は中性子利用1と産業利用に分けた2つのセッションが行われました。中性子利用からは偏極中性子を用いた磁気イメージングなど超伝導材料の特性評価や磁気深傷法等の診断などへの応用の可能性について議論が持たれました。産業界からは従来よりも少量のコバルトで合成した電池特性や自動車エンジン用ピストンの残留応力の評価、不凍タンパク質の氷結晶成長阻害活性に対する水和水の枠割など実例と将来ビジョンを交えた報告がありました。

2日目は中性子利用2、基盤&中性子源、ミュオン、中性子利用3の4つのセッションに加え、特別講演が行われました。J-PARCでは今年の夏には加速器の強度を現在の200kWから300kW程度にまで上げて運転する予定です。施設の利用者である研究者からも、この高度化に期待する声が聞かれました。エネルギーが高くなると装置にかかる負担も大きくなります。そのため高度化に向けた中性子・ミュオンを作りだすターゲットの開発には大きな関心が寄せられました。また、より効率的にビームを装置まで運ぶミラーの開発やデータを収集するための検出器の開発など装置開発の現状と課題も話し合われました。

また、ミュオンでは超低速ミュオンという新しいビームラインの建設が予定されており、それによって切り拓かれるサイエンスの可能性について議論が持たれました。

最後に特別講演をされた福山秀敏教授(東京理科大)からは「J-PARC、放射光施設、Kcomputerという三種の神器をもって、ここでしかできないユニークな実験をしてもらいたい。」と強くメッセージがおくられました。

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会場の様子

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ポスターセッションの様子

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