PF-ARで実験機器調整を開始 ユーザーにも協力依頼

 

東日本大震災により運転停止していた放射光科学研究施設フォトンファクトリーアドバンストリング(PF-AR)にて6月6日一斉点検が行われ、全ての実験機器に放射光が到達したことを確認しました。5月23日に放射光の導入が確認されたフォトンファクトリーに続くもので、これによってPF-ARでも光学装置などの精密機器に放射光を通しながら調整が可能になりました。この機器調整では、試料に放射光を照射しながら様子を見る必要があるため、PF-ARでの利用経験のあるユーザーの協力を得ながら調整を行う予定です。

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安全装置(インターロック)動作試験の様子。放射光導入は、安全装置の確認、放射線漏れの有無などたくさんの確認作業を経て行われた。

PF-ARは大強度パルス放射光を利用できる光源加速器です。KEKでは国内外から訪れる年間3400名を越える研究者の需要に一刻も早く応えるべく、PFおよびPF-ARの仮復旧を優先的に進めてきました。PF-ARでは地震により、加速器リングの継ぎ目部分でずれが生じ、加速器リングと実験ホールの境の壁にも被害が出ました。加速器のずれは電子ビームの軌道に影響し、放射光の質を左右するものです。初めて放射光を実験機器まで導入した際には、放射光の位置が最大約500μmずれていました。その後機器の調整を行い、10日の一斉点検では、すべての実験機器で震災前とほぼ同じ位置に放射光を導入できていることが確認できました。

現在は仮復旧ですが、夏期シャットダウン中に加速器のアライメントを調整し、秋の本格的な復旧をさせ、共同利用実験を再開することを目指しています。

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