アジア・オセアニア地域の中性子科学連携 AOCNS開催

 

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11月20日から24日にかけて、第1回アジア・オセアニア中性子散乱会議(1st AOCNS, 1st Asia-Oceania Conference on Neutron Scattering)が、つくば国際会議場にて行われました。この会議はアジア・オセアニア中性子散乱協会(AONSA, Asia-Oceania Neutron Scattering Association)と日本中性子科学会が、アジア・オセアニア地域での中性子科学における協力および交流ために新たに発足したものです。中国や台湾、韓国、オーストラリア、インドネシアなど12以上の国と地域から500名以上の研究者が集結しました。

日本中性子科学会会長の金谷利治教授(京都大学)、AONSA会長のJohn W. White教授の両氏による開会の辞に続き、原克彦文科省量研室長、高崎史彦KEK理事、永宮正治J-PARCセンター長、増子千勝氏(茨城県理事兼科学技術振興監)の挨拶がありました。会議の冒頭、東日本大震災の犠牲者に対して黙祷が捧げられ、J-PARCの被害報告と各国からいただいた多大な支援に対し感謝が述べられました。各国の施設からは、装置の開発や運用、利用状況などが報告され、その後は超伝導や生体分子、触媒などの分野に分かれ、4日間で24のセッションが持たれました。

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ポスターセッションの様子
21日から23日まで行われたポスターセッションでは400件を超える発表があり、自ら呼びかけて発表するなど、積極的な学生の姿が多く見られ、活発なセッションとなりました。強力なパルス中性子でしか見られない界面の様子や、中性子散乱を利用した原子スケールでの重力作用の研究などを行なっている研究者からは、運転を停止しているJ-PARCの再開を望む声が強く聞かれました。

また、この会議では、日本中性子科学会年会も併せて開催されました。22日には、学会からの授賞式が行われ学会賞、功績賞、奨励賞、技術賞が授与されました。パルス中性子を用いた新しい非弾性散乱実験方法の開発に対して技術賞が授与され、KEKからは横尾哲也物構研研究機関講師が開発メンバーの一人として受賞しました。

21日と23日にはグローバル・コーポレーションと題して、連携活動について各施設からと、アジア・オセアニア地域の連携組織であるAONSAから活動報告があり、中性子散乱利用を強力に推進していくための意見交換が行われました。その後行われた、AONSA Prizeの授賞式では、現在の中性子科学の礎を築いた渡辺昇KEK名誉教授に授与されました。

最終日、24グループそれぞれのまとめが報告され、120件の学生発表から特に優秀な発表をした10名にポスター賞が授与されました。次回AOCNSはオーストラリアで開催されます。

※記事初出時の参加者表記に誤りがありました。お詫びして訂正致します。(平成23年11月30日)

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AONSA Prize受賞の渡辺昇KEK名誉教授

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金谷教授からDr. Chris Ling(The University of Sydney)へバトンが引き継がれた。

関連サイト

1st AOCNS
J-PARC 物質・生命科学実験施設
KENS 中性子科学研究系
AONSA

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