木村嘉孝名誉教授が平成28年度秋の叙勲において瑞宝中綬章を受章
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木村嘉孝名誉教授
KEKの木村嘉孝名誉教授が、長年にわたる我が国の教育研究への貢献が評価され、平成28年度秋の叙勲において瑞宝中綬章を受章しました。
木村名誉教授は、1966年東京大学において理学博士の学位を取得し、同理学部助手を経て、1967年から1969年まで同工学部物理工学科講師として極低温と超伝導を用いる原子核実験装置の開発を行い、その後1970年から1971年にかけ欧州共同原子核研究機構(CERN)に滞在、CERN陽子シンクロトロンによる高エネルギー物理学実験に従事。1971年にKEKの前身である高エネルギー物理学研究所の設立とともに助教授として着任し、KEK12GeV陽子シンクロトロン(KEK-PS)の設計・建設、特に加速器のビーム輸送や制御などビームの性能向上のための研究に携わり、KEK-PSの成功に大きく貢献しました。
その後はKEKにおける加速器研究の責任者として、トリスタン加速器計画を立案、その設計と建設を主導し、完成後は同加速器の運転の指揮をとり、同加速器が当時の電子加速器として世界最高のエネルギー性能を実現することに寄与。1994年からは副所長として、研究所の運営や、Bファクトリー計画、ニュートリノ振動実験をはじめとする研究・開発プロジェクトの推進に尽力してきたのです。
1997年には、高エネルギー加速器研究機構の発足に伴い、物質構造科学研究所の所長に就任、同研究所の目指すべき方向性の検討や組織の整備などについて指導力を発揮し、また放射光研究施設の高度化計画や、中性子・中間子研究施設の拡充計画、大強度陽子加速器研究施設(J-PARC)の日本原子力研究所(現:日本原子力研究開発機構)との共同建設計画などを推進するなど、長年にわたってKEKの発展に運営面からも多大な貢献を続けました。
木村名誉教授は、高エネルギー物理学研究所運営協議員、科学技術・学術審議会専門委員、国立学校財務センター運営委員、総合研究大学院大学評議員、総合研究大学院大学数物科学研究科長を歴任し、その研究業績に対して、井上学術賞、高エネルギー加速器科学研究奨励賞を受賞するとともに、アメリカ物理学会フェローの称号を受けています。
木村名誉教授は受章にあたって、自身の研究生活について「日本における高エネルギー物理学を最初期から牽引された西川哲治先生とともに、多くの研究活動を行うことができ、大変恵まれたものでした。中でもその大部分はKEKに負ったものであり、この叙勲は、私個人というよりも、KEKに与えられたようなものだと思っています」と振り返っています。そして若手研究者や学生たちに対して「どの研究分野でも、草創期から爛熟期に入ると、新しい研究成果を生むのが次第に難しくなってきます。しかし一方では、組織や大型装置などが整備され、研究環境としてはより恵まれているとも言えます。つまり、アイデア次第では直ちに面白いサイエンスにつながる研究が可能となるわけで、是非新しい研究に果敢に取り組み、大きな成果につなげてほしいと思います」と応援の言葉を述べています。
KEKは今や世界有数の加速器科学の研究拠点に成長し、今後もますますの進展が期待されていますが、これらは木村名誉教授に負うところが大きかったといえるでしょう。
関連Webサイト
内閣府 平成28年度秋の叙勲等
関連Webページ
星空とKEK~学園都市と歩んだ30年~
加速器の歴史~世界と日本の研究所~
KEK 12GeV陽子シンクロトロン(KEK-PS)
TRISTAN計画
IPAC10 仁科記念講演 〜From TRISTAN to B-Factory〜
追悼 西川哲治先生
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