アパタイト型酸化物イオン伝導体における 高イオン伝導度の要因を解明 -定説くつがえす格子間酸素の不在-

 
  • 東京工業大学
  • 名古屋工業大学
  • 新居浜工業高等専門学校
  • 総合科学研究機構
  • 日本原子力研究開発機構
  • J-PARC センター

    【要点】
  • ○アパタイト型酸化物イオン伝導体には格子間酸素が存在せず、Si 空孔が存在
  • ○高いイオン伝導度の要因は結晶構造中に存在する酸化物イオンの不安定化だった
  • ○高性能な燃料電池やセンサー、酸素分離膜などの開発につながると期待

    【概要】
    東京工業大学 理学院 化学系の藤井孝太郎助教、八島正知教授らの研究グループは、名古屋工業大学 大学院 生命・応用化学専攻の福田功一郎教授、新居浜工業高等専門学校 生物応用化学科の中山享教授、名古屋工業大学の石澤伸夫名誉教授、総合科学研究機構(CROSS)中性子科学センターの花島隆泰研究員、日本原子力研究開発機構 J-PARCセンターの大原高志研究主幹と共同で、アパタイト型酸化物イオン伝導体が示す高いイオン伝導度の要因を原子レベルで初めて明らかにした。この材料は、近年注目されている固体酸化物形燃料電池(SOFC または SOFCs)やセンサー、酸素分離膜などへの応用が可能で、今後エネルギー・環境問題を解決する糸口になる可能性がある。

従来、アパタイト型酸化物イオン伝導体の高いイオン伝導度は、結晶構造中の格子間酸素の存在が要因であると言われてきたが、今回の実験では格子間酸素の存在は確認されず、その代わりにシリコン(Si)空孔があり、結晶構造中に存在する酸化物イオンが特定の方向に広く分布することが高イオン伝 導度の構造的要因であることを明らかにした。

本成果は、英国王立化学会が発行する材料化学の国際誌 Journal of Materials Chemistry. A に 2018 年 4 月 16 日に先行公開され、電子版と冊子版は刊行予定である。

詳しくは、プレスリリース(PDF)をご参照ください。

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