日米科学技術協力事業(高エネルギー物理学分野)40周年記念シンポジウムおよび合同委員会を開催

 
日米の研究者など総勢60名の参加者

4月15日(月)~16日(火)の2日間、高エネルギー物理学分野における日米科学技術協力事業の40周年を祝うシンポジウムを、ハワイにおいて開催しました。この事業は、日米政府間の取り決めに基づき1979年に始まったもので、加速器施設を利用した共同研究や加速器および測定器の技術開発を推進することを目的にしたものです。

本事業を通じて日本から多くの研究者が米国で展開される研究に参加してきました。たとえば、その中の一つの研究としてフェルミ国立研究所・Tevatron加速器におけるCDF実験ではトップクォークの発見など多くの重要な研究成果が得られました。また、本事業によって米国に派遣された我が国の若手研究者が今や全国の大学及び研究所における研究・教育両面でのリーダーになるなど、人材育成の面でも大きな役割を果たしてきました。

日米の協力事業の開始当初は、主に日本人研究者が米国の最先端加速器施設に出向いて研究を行っていましたが、この40年間に日本の高エネルギー物理学の研究水準は飛躍的に向上し、現在では小林・益川理論の検証を行ったKEKB加速器など世界のトップレベルに達し、欧米から多くの研究者が共同研究のために訪れています。

本シンポジウムには、文部科学省及び米エネルギー省からの代表やフェルミ国立加速器研究所、SLAC国立加速器研究所、ブルックヘブン国立研究所、ローレンス・バークレー国立研究所、とKEKの執行部、および本事業に携わった日米の研究者など総勢約60名が参加しました。

本シンポジウムでは、事業発足40周年を迎えるに当たり、これまでの事業の総括、特にこの10年間における同事業による研究の成果、事業の変遷と発展を振り返り、また今後の素粒子物理学の方向性を俯瞰することで本事業のこれからの在り方について意見を交わしました。

合同委員会終了時に行われた議事録署名式

また、本シンポジウムに続き、4月16日(火)、17日(水)に第41回日米科学技術協力事業(高エネルギー物理学)合同委員会を開催しました。同委員会は年1回日米両国で交互に開催しており、米国側は代表としてジェームズ・シーグリスト米国エネルギー省(DOE)高エネルギー物理担当部長が出席し、日本側は岡田KEK国際担当理事をはじめ、両国の高エネルギー物理学に関する研究機関等の関係者が出席し、高エネルギー物理学分野における日米の研究協力について議論を行ったほか、2019年度の実施課題を決定しました。

次回の委員会は、2020年に日本で開催する予定です。

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