X線が物質中に入射すると,物質中電子によって散乱されます。原子がX線を散乱する能力は各原子が含む電子の数に依存します。即ち原子番号が大きく多くの電子を含む原子はX線を散乱する確率が高くなります。
個々の原子からの散乱強度は小さいので観測するのは容易ではありませんが,結晶中のように規則性をもって配置している場合にはそれぞれの原子からの散乱X線が干渉して配置の規則性を反映した特定の方向に強くX線が散乱されます。
この現象をX線回折と呼びます。具体的には結晶中の原子の配置によって決まる結晶格子面の間隔をd,X線の波長をλ,格子面への入射角度をθとすると
 λ=2d sinθ
という関係が成り立つ場合にX線回折がおきます。散乱される角度は入射方向に対して2θとなります。波長λと回折角2θを測定するとこの関係から格子面の間隔がわかります。結晶中の多くの格子面とそれからの回折強度,さらにそれらの間の角度から結晶内の各原子の配置を決めることが出来ます。
これを結晶構造解析といいます。鉱物のような無機物から生体を構成するタンパク質のような有機分子にまでこの方法は適用できます。






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