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CT (コンピュータ断層撮影法)
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一般に、コンピュータとX線走査装置を用いて体内の精密な断層像を得る方法。通常のX線撮影 (レントゲン写真) では、平面的な組織の密度分布しか知ることができない。これに対して、体のあらゆる方向からX線源とX線検出器を回転走査し、その結果をコンピュータを用いて計算することで、人体断面のより精密な画像化を行うことができる。1972年、頭部断面の撮影にはじめてX線を用いた断層撮影法が応用された。造影剤と組み合わせた造影CTも開発され、尿路血管造影や経口消化管造影などが行われている。X線の替わりに、超音波、核磁気共鳴、陽子などの粒子線を使うCT装置の開発も進んでいる。最近では、照射菅を連続回転させて撮影するヘリカルスキャンCTが開発され、動いた人体の撮影も可能となった。
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放射線治療
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放射線を照射して体内のガン組織 (悪性腫瘍) を破壊する治療法。放射線として、X線、ガンマ線、電子線 (ベータ線) および陽子、中性子、中間子などの粒子線が用いられる。コバルトなどを線源として、外部から体内のガン組織に照射する方法が採られている。また、イリジウムなどの放射性物質をガン病巣に直接埋め込む方法もある。ガンの種類によって放射線に対する生体的感受性は異なり、線量分布の改善、最適な時間的線量配分などの研究が進められている。皮膚ガン、子宮頸ガン、頭頸部 (口腔、上顎および喉頭) がん、悪性リンパ腫などは、早期発見の場合、放射線治療だけで治癒可能である。進行ガンやその他のガンに対しても、ガン組織切断手術、化学的抗ガン剤などと組み合わせることによって治療が有効な場合もある。また、ガンの圧迫による気道閉塞などの緊急時には、即効的効果を期待して一時的な放射線照射が行われることもある。放射線治療による副作用としては、周囲の正常組織や照射部位の体表皮膚の障害、血液細胞の減少などがある。
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重粒子線治療
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炭素 (質量数12)、ネオン (同20)、ケイ素 (同28)、アルゴン (同40) などの重イオンを照射して体内のガン組織 (悪性腫瘍) を破壊する治療法。重粒子線治療は、ガン病巣に大きな線量を照射して局所治療を行える一方、正常組織への障害を最小限に押さえることができるという特徴がある。また、従来のX線では効果のなかった種類のガンに対する治癒率向上も期待されている。X線CTやMRIによるガン病巣の正確な位置の特定、患者の固定、放射線の精密化などの技術の進歩により実現が可能となった。具体的には、線形加速器で加速された重イオンをシンクロトロンでさらに100〜600MeVまで加速して、目標の体の深部にまで到達させる。現在世界で稼動しているのは、1994年に運用を開始した日本の放射線医学総合研究所のHIMACだけである。1997年2月までに、頭頸部がん、脳腫瘍、肺ガンなど390例の臨床試験を行なっている。 |