クライストロン
マイクロ波を発生させる真空管の一種。0.5〜10GHz程度の高周波の発振または増幅に使われる。1939年、アメリカで発明された。空洞共振器を単独で使う反射型クライストロンと複数個を直列につなぐ直進型クライストロンの二種類がある。反射型クライストロンは、一つの共振器を高周波電場の入力と出力として同時に用いる。そして、反射電極で電子を逆行させて共振によるマイクロ波を発生させる。直進型クライストロンは、複数の共振器の間で速度変調と密度変調を繰り返すことによってマイクロ波を発生させる。直進型は、大きな出力を取り出せるのが特徴である。クライストロンという名称は、浜辺で "波が砕ける" という意味のギリシア語 klyzo からつけられた。


進行波管
マイクロ波を増幅させる真空管の一種。マイクロ波の位相速度とほぼ同じ速度で進行する電子ビームをつくり、その電子ビームに速度変調と密度変調を与え、両者の間で相互作用させることによってマイクロ波を増幅させる。波の位相速度が遅くなるように設計した導波菅を使い、軸方向の電子ビーム速度がマイクロ波の位相速度よりも少しだけ大きくなるようにすると、電子ビームのエネルギーがマイクロ波に与えられる。多くの場合、らせん状にまいた導体を遅波回路として用いることでマイクロ波の行路長を延ばし、らせん軸方向の位相速度を減少させる。数GHz〜数十GHzの広い周波数帯にわたってマイクロ波を増幅することができる。衛星通信など幅広い分野で活用されている。


光電子増倍管
微量の光を増幅して捕らえる検出器。光子が光電子増倍管内の半導体薄膜に当たると、光電効果によって電子がたたき出される。この光電子は、電場によって陽極のほうへ加速され、その間に十分なエネルギーを得る。さらに、陽極に衝突していくつかの二次電子をたたき出す。このようにしてたたき出された二次電子は、同様の過程で新たな電子をたたき出し、次々にこの過程が繰り返される。こうして得られた大量の電子は、巨視的な電気信号となって観測することができるようになる。きわめて微弱な光であっても、光電子増倍管の内部で多段階増幅されるため、非常によい感度で検出できるのが特徴である。最近の応用例としては、スーパーカミオカンデのニュートリノ検出に利用されている。


SOR
磁場内を光速に近い速さで円運動している荷電粒子から放射される電磁波。シンクロトロン放射光ともいう。特に、波長1〜5nm のX線が強く放射されるのが特徴である。電子シンクロトロン加速器からの放射は、真空紫外、XUV、X線領域の連続光源として、強度、指向性、偏光特性、パルス特性などのすぐれた性質をもっている。現在ではその特徴を生かして、物性研究、X線構造解析、生体の放射線効果など幅広い研究分野で使われている。また、銀河電波の中やパルサーの電波にも見出されている。


自由電子レーザー
電子シンクロトロンの直線部分で、二重らせんコイル (ヘリカルウィグラーという) に互いに逆向きの電流を流してらせん状に変化する磁場をつくると、その中を走る電子線からはスペクトル幅の狭い電磁波が放射される。これに誘導放射を行わせるとレーザー発振を起こすことができる。これを自由電子レーザーと呼ぶ。自由電子レーザーは、非常に高いエネルギーの電子ビームを使うため、ギガワット程度の大きな出力を得ることができる。




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