NEWS

Announcement

2023.1.4


Project Q 提案の受付開始

量子場計測システム国際拠点(QUP)は、Project Qの提案の受付を開始します。下記の選定プロセスの記述(PDF版はこちらのリンク)を参考に応募下さい。


応募受付期間: 2023年1月15日~2月15日
応募方法:     こちらのワードファイルの申請書テンプレートを参考に1ページのカバーページ、2ページの                        Expression of Interest、1ページのサマリースライド、参考文献のリストを提出下さい。
提出先:        [qup_projectq_contact@ml.post.kek.jp]
質問等の問合せ先: 提出先に同じ



QUP Project Qの選定プロセス

                                                                                                            QUP拠点長 羽澄昌史
                                                                                                                        2022-12-28
1. 量子場計測システム国際拠点(QUP)

 量子場計測システム国際拠点(Quantum-field Measurement Systems for Studies of the Universe and Particles, QUP)は、高エネルギー加速器研究機構(KEK)に、2021年12月16日に誕生した、量子場計測システムに関する国際研究拠点です。文部科学省が推進する世界トップレベル研究拠点プログラム(WPI)の14番目の国際研究拠点として採択されました。WPIは、2007年度から開始された事業で、システム改革の導入等の自主的な取組を促す支援により、第一線の研究者が世界から多数集まってくるような、優れた研究環境ときわめて高い研究水準を誇る、「世界から目に見える研究拠点」の形成を目指しています。補助金の期間は2021年度-2030年度の10年間で、その後は補助金に頼らず恒久化することが求められています。

 QUPは、WPI拠点の中でも唯一の、計測システムに特化した拠点です。新しい「眼」を人類にもたらし、この美しい世界の成り立ち(時空と物質の真の姿)を見つめる、と言う基本コンセプトのもとで、QUPでは新しい研究プロジェクトを立ち上げようとしています。それと同時に、発明・開発した新しい眼の広い学問分野への応用や社会実装を目指した研究にも取り組みます。

 QUPが推進するプロジェクトは、4つのリサーチクラスター(低温検出器クラスター、量子検出器クラスター、ラドハードデバイスクラスター、データ取得・解析クラスター)による新しい計測方法やデバイスの開発と、開発された技術を用いた時空と物質の真の姿を見つめるプロジェクトの二種類に大別されます。前者がQUPの屋台骨を支えているのでファウンデーション層、後者はそれを用いた応用と言う性格からアプリケーション層と呼びます。どちらもQUPのミッションにとって不可欠です。アプリケーション層のプロジェクトで多くのリソースが必要であるなどの理由から特別な扱いをするものは、「QUPフラグシッププロジェクト」と呼ばれます。フラグシッププロジェクトには、QUPとして優先的に人的リソースを配分します。2022年11月現在で、フラグシッププロジェクトはひとつで、JAXAが主導するLiteBIRD衛星計画の「眼」となる超伝導検出器アレイの開発です。LiteBIRD衛星計画は、インフレーションが予言する原始重力波の痕跡を宇宙マイクロ波背景放射の精密観測により見つけようと言う野心的な計画で、QUPの複数のPI達が取り組んでいます。技術的な観点では、世界初の深宇宙で運用する超伝導ミリ波検出器アレイとなる予定です。QUPで開発する超伝導検出器の種類は、超伝導転移端センサー(TES)なので、以下、プロジェクト名として、"SpaceTES for LiteBIRD"と記します。

2. Project Q

 QUPでは、SpaceTES for LiteBIRDに続く第二のフラグシッププロジェクトを立ち上げようとしています。そのためのフレームワークをProject Qと名付けました。Project Qの目標は、新しい量子場計測システムにより、新しい量子場を探索し、世界トップレベルの結果を得ることです。
 QUPのプロジェクトに共通する志向は、物理学の新しい原理(Beyond the Standard Model)の探求です。特に、宇宙観測から得られた謎(インフレーション、ダークエネルギー、ダークマターなど)を解くための新しい眼の開発と、その実装、観測を目指しています。これらの謎の解決には、インフラトン、アクシオン、超対称粒子などの新しい量子場を導入することが必要だと考えられており、様々な理論提案がなされています。QUPはそれらの検証を重要課題と位置付けています。また、物理学の新しい原理の探究において、最も高いレベルの目標は、量子論と重力理論の統一です。QUPではこの野心的な目標にも大きな関心を有しています。

 Project Qは、以上のような学問的時代認識のもとで、テーマを厳選して、ゼロからプロジェクトを立ち上げるフレームワークです。

3. Project Qの要件

3.1 Principal Investigator (PI)
 提案にはPIを一人設定することが必要です。Project Qに採択された場合、 PIは、同時にQUPの所属を得てQUP組織のPIとなり、十分なFTEをProject Qの推進に使うことが要件となります。これはクロスアポイントメントでも構いません。ガイドラインとしてはPIのFTEは40%以上を想定しています。

3.2 提案内容
 新しい量子場計測システムにより、新しい量子場を探索し、世界トップレベルの結果を得る道筋が示されていることが必要です。スケジュールと必要なリソースについても、現時点での計画について記載していただくことが必要です。

4. 選定プロセス

4.1 Project Q選定委員会
 Project Q選定委員会は、以下のメンバーで構成されます。
■ 羽澄 昌史 (QUP拠点長)、委員長
■ 花垣 和則 (QUP副拠点長、KEK素核研副所長)、
■ 徳宿 克夫 (QUP事務部門長)、
■ 齊藤 直人 (QUP参与、KEK素核研所長)、
■ 磯 暁 (QUPシニア研究員、KEK素核研教授)、
■ 三部 勉 (QUPシニア研究員、KEK素核研教授)、
■ 満田 和久 (QUPシニア研究員、国立天文台先端技術センター特任教授)
選定委員会の役割は、提案された「新しい量子場」の探索方法について以下の観点から評価し、Project Qを選定することです。

評価の観点
■ 物理学上の意義
■ 探索方法の新規性(量子場計測システムとしての新規性)
■ 計画の実現可能性
■ 探索結果が得られる時期(早いほど望ましい)
■ 最終結果に至るマイルストーン(途中の成果)として価値のある目標があるかどうか
■ QUP全体のミッションとの整合性
■ QUP 全体のマイルストーンとの整合性(特に2025年夏までの達成目標、および、2030年度終わりまでの達成目標)
■ PIのコミットメント (FTEの高さ、外部資金の獲得状況、獲得計画など)

4.2 提案書
 最初の段階としては、1ページのカバーページ、2ページのExpression of Interest、1ページのサマリースライド、参考文献のリストを出していただきます。テンプレート内の指示にしたがって、記入してください。
注:日本語版テンプレートはありません。英語版を見てください。

4.3 ダウンセレクションと初期検討
 Expression of Interestに対してダウンセレクションを行います。この段階では、必要に応じて聞き取り調査を行います。それを踏まえて、最大2件に絞ります。選ばれた提案に対して、QUPシステモロジー支援セクションによるシステムズエンジニアリング支援を行い、計画を更に練って行きます。ダウンセレクションを通った提案については、最終セレクションの結果にかかわらず、QUPのプロジェクトとして進めていくことを想定します。また、ダウンセレクションから漏れた提案に関しても、QUPのプロジェクトとして進める可能性があります(これに関しては、審査委員会の意見を聞きながら拠点長が決定します。)

4.4 最終セレクションと立ち上げ
 最終セレクションは、必ずしもシステムズエンジニアリング支援の終了を待たず、最大2件のどちらかをProject Qに選定し、速やかに研究員3名程度(と必要な場合はPI)の人事公募を開始し、PIと研究員が可能な限り早い時期に着任することを目指します。提案が想定する規模によりますが、最終的にはQUPに最大10名程度のグループを形成することまでを想定しています。なお、選定されなかった方の提案についても、QUPとしての当面のコミットメントを決定し、プロジェクトとして進めていくことを目指します。
 最終セレクションの結果としてあり得るシナリオの一つは、Project Qとして選ばれた方はQUPの補助金期間内に世界レベルの結果が出せる計画で、そうでない方は重要だがより時間がかかるものとなるケースです。必ずしもこうなるかはわかりませんが、目指す物理学上の意義が特に高いものに関しては、必ずしも2030年度までに最終結果が得られることを要求しません。ただし、そのような時間のかかるプロジェクトの場合は、よい中間目標があることが重要となります。

5. スケジュール

 提案書は2023年1月15日から2月15日の間に受付けます。選定委員会で提案を受け取り次第、評価を始めます。ダウンセレクションは2023年3月1日までに行うことを目指します。最終セレクションは2023年3月31日までに行うことを目指します。

6. 備考

 QUPは資金提供機関ではないため、Project Qの選定プロセスは、外部資金の公募ではありません。Project Qは、QUPのプロジェクトとして進めていくことを想定しているため、Project QのPIは、基本的にQUPに所属していただきます(100%である必要はなく、クロスアポイントメントを用いた所属も可能です。)
 QUPはWPI拠点の一つであり、その補助金は、主に人の雇用に使われます。したがって、QUPはProject Qに対して人の雇用と施設関連の経費を出せますが、それ以外のプロジェクト資金の調達はP Iが主となってQUPがサポートする形で別に計画する必要があります。

© 2021 International Center for Quantum-field Measurement Systems for Studies of the Universe and Particles