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Press release

2024.4.10


TES検出器の新しい応用―微量ウランの分布の可視化

WPI-QUPは、中核的な研究テーマとして超伝導転移端検出器(Transition Edge Sensor; TES)の開発を進めており、その技術を、原子・分子・原子核物理学や、X線・マイクロ波電波を用いた宇宙観測などでの幅広い応用をすることで、技術革新を目指しています。TESは、従来の半導体検出器より、高いエネルギー分解能と高い検出効率を得ることができます。

このTESを用いた最新の研究成果が、2024年4月9日にイギリスの王立化学会(Royal Society of Chemistry)から発行された『Analyst』誌に「ウラン鉱山から得られたビオタイト中のウランの種分化の事例研究:マイクロX線蛍光測定とマイクロX線吸収近傍エッジ構造分光法における超伝導転移端検出器(Transition Edge Sensor; TES)の応用」として掲載されました。

QUPのポスドク研究員早川亮大博士は、共同研究者とともに、従来の半導体検出器では不可能であった、実際の環境試料中の微量ウランの分布を正確に特定することに成功しました。兵庫県の播磨科学公園都市にある大型放射光施設 SPring-8でマイクロビームX線を使った実験を行い、鉱物中のウラン滞留メカニズムを解明しました。この成果は、TESの微量ウラン分析能力の高さを実証するもので、ウランだけでなく、他の元素への応用も期待でき、より広範な環境試料分析が期待されています。

早川研究員は、「私自身は、主に宇宙粒子物理学のためにTES開発に取り組んでいます。しかし、この研究成果は、新しい測定器の開発が他の分野の研究の発展にも役立つということを示しています」と述べています。

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DOI:
https://doi.org/10.1039/d4an00059e

立教大学からのプレスリリース:
https://www.rikkyo.ac.jp/news/2024/04/mknpps000002i3xx.html

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