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2025.12.23


2025年11月19日(水)、QUP豊田中研サテライト(@㈱豊田中央研究所/愛知県)で第5回QUPシナジーサミット(QSS5)を開催しました

2025年11月19日(水)、QUP豊田中研サテライト(@㈱豊田中央研究所/愛知県)で第5回QUPシナジーサミット(QSS5)を開催しました。

このサミットは、WPI(世界トップレベル研究拠点プログラム)のミッションのひとつである「次代を先導する価値創造 / 基礎研究の社会的意義・価値」に基づいた、QUP/KEKと産業界パートナーとの産学連携のための新たなプラットフォームです。QUPは、一連のトピックミーティングや情報共有を企画することでシーズとニーズのマッチングをサポートしており、第5回となった本ミーティングにはトヨタグループ関係者を中心に約30名が参加しました。

冒頭に、QUP豊田中研サテライト拠点長の武市憲典氏より、これまでのQSSの振り返りと現況について説明がありました。第1回~第3回ミーティングで議論された宇宙線起因の半導体ソフトエラーの予測技術構築のため、トヨタグループ3社とKEKを含む学術界3者による共同研究が開始され、その一環としてミューオン照射試験が遂行されたとの報告もありました。

続いて、さらなる産業界と学術界の連携を探るために、基礎科学が持つシーズの紹介として3つの講演が行われました。QUP副拠点長の東俊行氏は「新生QUPの目指す科学」と題し、極微小信号を捉える量子技術を駆使した多様なセンサー開発を通じて、軽い暗黒物質探索や重力検出、さらには標準理論を超える新しい物理を探究していくというQUPの新しいビジョンについて紹介しました。

次に、QUP連携研究員(京都大学化学研究所・教授)の水落憲和氏より、室温で超伝導量子干渉計並みの高感度を実現することが期待されているダイヤモンド中のNV中心を用いた量子センサについて、その基礎から幅広い分野への応用や国内外の産業界の動向を含めた包括的な話がありました。

最後に、中央大学理工学部・准教授の松崎雄一郎氏からは、近年進展が目覚ましいIoT(モノのインターネット)のセキュリティ対策のアイデアとして、量子性を用いることで完全な秘匿性の保証されたIoTの理論的枠組みについて解説がありました。量子センサ、量子コンピュータ、量子通信を統合化・複合化することで実現する高効率・高速・安全な情報処理システムや多機能性を有するデバイスの提案が行われ、将来の社会実装についても議論されました。

今後もQUPではこのQSSの枠組みを用いて、QUP豊田中研サテライトで定期的にミーティングを開催し、様々なテーマを取り上げていく予定です。

(関連URL)
第1回QUPシナジーサミット 開催報告
https://www2.kek.jp/qup/news/detail20230804.html

第2回QUPシナジーサミット 開催報告
https://www2.kek.jp/qup/news/detail20231226.html

第3回QUPシナジーサミット 開催報告
https://www2.kek.jp/qup/news/detail20240617.html

第4回QUPシナジーサミット 開催報告
https://www2.kek.jp/qup/news/detail20241205.html

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