No.7 2013年11月発行
今をさかのぼること4000 年前、エジプトでは超巨大建造物ピラミッドが建設されていた。ピラミッドは重さ数トンの石を積み上げた建造物で、これを組み上げるには石材を切り出して運搬する必要がある。そのまま石を運ぶのは相当な労力が必要だが、古代エジプトの人々は木製のソリやコロ、さらには油や牛乳を地面にまくなどして効率的に運搬していたと考えられている。これらの道具は今でも利用されているが、その原型が紀元前2500 年に既に存在していたことは本当に驚くべきことである。そして、我々はこれらの道具を改良してより良い道具を造り出しているが、実は摩擦と潤滑のメカニズムは未だ完全には分かっていないのだ。
家具の転倒防止や滑り止めなど、摩擦を利用したものは身の回りにたくさんある。一方、工業においてもは、エンジンやモーター、ギアやベアリングなどの機械を摩耗させたり、...
-- まず千田さんがこれまでにされてきた研究についてお聞かせください。
千田:3つぐらいあって、ひとつはピロリ菌由来のタンパク質。ふたつめは真核細胞生物の核内のタンパク質の
話。核内で起こっている遺伝情報の読み取りの仕組みとか。核の中ではDNA とタンパク質がくっついていて,そのままじゃ読めないので、ほどいたり、また元に戻したりする仕組みがあるんですけど...。
-- 先日カソクキッズで取り上げさせていただきましたよね。
千田:そうそう、あれです!...
筑波大学 数理物質系 新関智彦助教(現東北大学)、柳原英人准教授、喜多英治教授らのグループは、KEK物質構造科学研究所・構造物性研究センター 中尾裕則准教授、北海道大学大学院 理学研究院 小池和幸教授らとともに、量産に適した成膜手法で、良質なコバルトフェライト単結晶薄膜の作製に世界で初めて成功した。さらに、この薄膜が白金等の貴金属を含む磁性材料に匹敵する強い垂直磁気異方性をもっていることを見出した。
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九州大学大学院工学研究院 田中敬二教授の研究グループは燃料電池にも使われる高分子電解質「ナフィオン」の薄膜が水中で膨潤していく過程を解明した。
燃料電池の電極界面は、炭素、白金、そしてナフィオンと呼ばれる高分子固体電解質で構成されている。水素と酸素の化学反応は白金触媒の表面で起こり、 効率的に反応させるには水素と酸素を素早く供給することが重要である。 ナフィオンは長い紐状の分子で、その側鎖にスルホン酸基という強い酸性の部分があり、水を吸着することで水素イオンを生成する。 この水素イオンはナフィオン中に形成される水のネットワークを流れ、白金へと水素を効率よく供給できるが、そのネットワークが薄膜中でどのようにネットワークが形成されるのか、 詳細なメカニズムは分かっていない。 研究グループはナフィオンの薄膜が水を吸収してネットワークを形成する過程を調べるため、銀や石英の表面にナフィオン薄膜を作成し、水がナフィオンに浸漬・膨潤していく過程を表面プラズモン共鳴、 およびJ-PARCの物質・生命科学実験施設(MLF)の中性子反射率計SOFIAを用いて観測した。...
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1月1日、J-PARCの物質・生命科学実験施設(MLF)で建設中の超低速ミュオンビームラインにて、「超伝導収束ソレノイド電磁石」までミュオンビームが通ったことが確認された。これは7月に搬入された超伝導湾曲ソレノイド電磁石に続く部分で、超低速化させるターゲット直前まで、ミュオンビームが到達したことになる。
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コンパクトERL(cERL)では、2013年7月から11月までの予定でビーム周回部の建設を進めている。7月から9月にかけて周長約90m にわたって約80 台の電磁石が設置され、加速器の全景が姿を現し始めた。10月末には、ほぼ全てのビームダクトが設置され、電気配線、追加遮蔽等の作業が進められている。11月末から超伝導加速空洞のコンディショニングを行い、年内にビーム運転を開始することを目指している。
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フォトンファクトリーのBL-15では、XAFS/XRF(X線吸収微細構造)とSAXS(X線小角散乱)の2種類の測定を行える新しい挿入光源ビームラインの建設が進んでいる。今春に古いビームラインを撤去し、夏のシャットダウン中にアンジュレータ、基幹部、ハッチ、ビームライン、実験装置などの設置、調整作業を行った。安全検査を経て、10月17日にはアンジュレータからの初ビームの観測に成功した。引き続き調整を行い、11月中に最下流のSAXS装置までビームを通す予定。
東北大学と共同で検討してきた偏極度解析分光器が、8月末よりJ-PARC物質・生命科学実験施設にて建設が開始された。中性子源から中性子を装置まで運ぶダクト内にスーパーミラーが挿入され、中性子源から実験ホールまで徐々に設置されている。
POLANOは、偏極中性子非弾性散乱を利用し磁性研究など物質材料科学への利用を目指し、2015 年度に完成する予定。
J-PARC物質・生命科学実験施設に建設中のBL06では、2012年度より中性子共鳴スピンエコー分光器群VIN-ROSEの建設を進めている。10月からは中性子を輸送するガイド管の設置作業と並行して遮蔽体(写真、赤いブロック)の増設作業を行っている。その後、分光器を設置作業へと続き、ビーム運転の開始と共に調整作業を行えるよう準備を進めている。
2014 年3 月18 日(火)-19 日(水)の日程で物構研サイエンスフェスタをつくば国際会議場(エポカルつくば)で開催します。MLF シンポジウムと合同開催となり、例年以上の盛り上がりが期待されます。プログラム等詳細は決まり次第お知らせします。