最終変更日/ Last modified : 平成28 年 7月5日/July 5, 2016
このホームぺージについて/About this home page
筆者は高エネルギー加速器研究機構で長年加速器の研究に携わってきました。このホームページには、その過程で著した幾つかの解説風の文章を収めてみました。加速器についてこれから勉強を始めようとされる方々に、いささかなりともお役にたてばと思っています。
KEKレポート/KEK Reports
総研大講義録/ Lecture Notes (SOKENDAI)
- 「加速器の基礎概念(平成27年度日本語版)」
- 加速器専攻:平成27年度前期新入生のための加速器科学入門講義録(2015年4月16日)
- "Fundamental Concepts of Particle Accelerators (in English, Oct. 23, 2014)"
- Lecture note (October 23, 2014) for the core-curriculum " Introduction to Accelerators II "
in the 2nd semester of 2014,
Department of Accelerator Science,
School of High Energy Accelerator Science, SOKENDAI
小品/Articles
- 「500 MHz クライストロン」
500 MHz Klystron
- クライストロンはビーム加速に必要な大電力高周波を発生するための特殊な真空管です。この小文はKEK放射光リングやトリスタンおよびKEKBリングで使われてきたクライストロンの開発過程を述べたものです。加速器学会誌「加速器」Vol. 1, No. 2, 2004 (pp.128-137) の原稿。
- 「閑話:35年前の加速管製作」
35年前の加速管
- 第3回 高エネ研メカ・ ワークショップで講演した内容を同報告集(KEK Proceedings 2002-10)のためにまとめた原稿。KEK着任以前に東芝中央研究所で行ったリニアック研究のうち、加速管精密加工とマイクロ波共振特性の関係に焦点をしぼって記述しました。
メモ/Memos
- 「超伝導リニアック、大強度化のための課題と見通しについて」
超伝導リニアック、大強度化のための課題と見通しについて
- 加速器で高エネルギーに加速された陽子ビームで核物質を照射し、中性子の増殖あるいは
高放射化物質の非放射化を行おうとする試みをADS (accelerator driven system) という。
炉としては未臨界で動かすので、緊急の場合にはビームを止めれば直ちに増殖が停止するという
安全上の利点がある。陽子ビームとしてはエネルギーが100億電子ボルト(1 GeV) 、電流量が連続
10 mA というところが大まかな目標値である。
加速器としてはいくつかの候補が考えられているが、有力のものの一つは超伝導加速管を
つかう陽子リニアックである。このメモは、この規模の陽子ビームを加速する超伝導加速管
とはどういうものか、その基本的側面を解説する。なおこのスライドは2012年9月14日に
福井大学で開催された研究会のために準備したものをもとにしている。よりくわしい
資料はIPAC (International Particle Accelerator Conference 2012) の会議録を
参照されたい。
- 「金属円筒内を一定走行する点電荷の電磁場」
金属円筒内を一定走行する点電荷の電磁場
- 無限に長い金属円筒内を一定走行する点電荷がつくる電磁場の解析解を、(1) 固有関数の級数和として、(2) Fourier積分の形で表わす。双方は数学的には等価であるが、Mathematicaなどの関数解析プログラムによる計算では(2)の方が入力が簡単で扱いやすい。高エネルギー加速器では粒子速度を光速 c と近似するのが一般であり、その場合には点電荷の電磁場分布はローレンツ短縮により厚みのない円板状になる。しかしここでは粒子速度を任意の大きさとして扱い、粒子進行方向に広がりをもつ電磁場の具体的な形を明示する。
- 「高周波電場下のFowler-Nordheim放出電流の振舞い」
高周波電場Fowler-Nordheim電流
- リニアコライダーの加速空洞では1m当り0.5億ボルト以上という極めて高い加速電場が要求されるので、放電の抑止には十分な注意が必要である。さて放電現象は殆どの場合、金属表面から高電場によって引出される電子流(これをFowler-Nordheim放出電流という)が引きがねになると考えられる。従って電場と電流の関係を理解しておくことは大変重要である。ところでFowlerとNordheimが1928年に与えた関係式は直流電場の下でのものであった。しかし加速空洞のように高周波電場の場合には若干の修正が必要であることが指摘されてきた。このメモでは、数値計算も併用してこの辺の状況をもう少し明らかにする。
自己紹介/About the author
- 2003年3月 大学共同利用機関法人 高エネルギー加速器研究機構(以下KEKと略称) 加速器研究施設 定年退職 。
- 1989年4月から2003年3月 国立大学法人 総合研究大学院大学(以下総研大と略称) 数物科学研究科 加速器科学専攻 併任。
- 現在、名誉教授 (KEKならびに総研大)。
- 専門は加速器物理、とくに高周波加速。