触媒は素材合成、石油化学、自動車等に広く用いられ、材料やエネルギー創出を支える社会基盤の一つです。触媒では、反応種と触媒粒子や触媒担体等の間で、原子や分子、イオン、あるいは電子の移動による反応が選択的かつ高効率に進行することが求められます。一見単純な模式図で描かれることが多いですが、これは実際は複雑で不均一、不一様な反応性がよく分かっていないことの裏返すとも言えます。つまり、触媒の高活性化・高性能化のためには、「均一な不均一性」を、時間および空間でのマルチスケールで理解することが不可欠になります。
本プロジェクトでは、各種触媒について、(1)硬X線XAFS等の分光法や様々な顕微法による反応観察、 (2)軟X線XAS, XPS等を用いた軽元素の状態観察、 (3)低速陽電子を用いた極表面の観察、(4)中性子を用いた特に水素等に注目した構造解析、 (5)理論計算や情報科学的な手法を用いた反応機構の描画、を組み合わせ、反応素過程の動的挙動、律速段階の制御因子の理解に取り組みます。さらに、マクロ特性(合成速度、TOF、活性化エネルギー)を支配するactive site, non-active site(働かない触媒粒子)が発現する機構の理解を目指します。
阿部 仁,丹羽 尉博,山下 翔平
細野 秀雄,北野 政明,山浦 淳一(東京工業大学)
朝倉 清高(北海道大学)
近藤 寛, 豊島 遼(慶應義塾大学)
望月 出海,本田 孝志(KEK物構研)
硬X線XAFS,軟X線XAS,XPS,XRD,TRHEPD,LEPD,ND