所要時間:約6分

2015年01月31日(土)、柏の葉カンファレンスホール(千葉県柏市)にて「ハイパーカミオカンデ国際共同研究グループ結成記念シンポジウム及び調印式」が開催されました。シンポジウムには13カ国の代表者からなる国際代表者委員会や国際運営委員会を含むハイパーカミオカンデ国際共同研究グループのメンバー100名以上が出席しました。

シンポジウムはTRIUMF研究所の小中哲教授の司会で進められ、最初に東京大学宇宙線研究所の塩澤真人教授がハイパーカミオカンデ計画の概要を、次にKEK素粒子原子核研究所の小林隆教授がJ-PARCニュートリノビーム施設について説明を行いました。さらにクイーンメリー大学ロンドン校のDi Lodovico教授がハイパーカミオカンデ計画の国際協力体制について説明を行い、最後にデューク大学のWalter教授がカミオカンデ実験以来のニュートリノ実験における国際協力の歩みについて説明を行いました。

そして、KEK素粒子原子核研究所の山内正則所長と東大宇宙線研究所の梶田隆章所長が、ハイパーカミオカンデ計画構想の具体化に向けた検討を協力して推進していく旨の覚書を取り交わしました。結びに京都大学の中家剛教授からハイパーカミオカンデ国際共同研究グループの結成が宣言されると、会場は大きな拍手に包まれました。

シンポジウム及び調印式終了後に、ハイパーカミオカンデ国際共同研究グループ全員で集合写真を撮影し、ハイパーカミオカンデ実験の実現に向けて協力して研究を進めていく決意を新たにしました。

ハイパーカミオカンデ計画は、これまで日本で培われてきた高度なニュートリノ実験技術をもとにスーパーカミオカンデの10倍スケールのニュートリノ検出器を新たに建設し、J-PARCの大強度ニュートリノビームと組み合わせることにより、「素粒子の統一理論」および「宇宙における物質の起源と進化の謎」に挑戦するものです。

シンポジウム及び調印式の様子

ハイパーカミオカンデ計画の概要を説明する塩澤真人教授(東京大学宇宙線研究所)【写真提供 : KEK素粒子原子核研究所/東京大学宇宙線研究所】
大強度陽子加速器施設J-PARCのニュートリノビーム施設について説明をする小林隆教授(KEK素粒子原子核研究所)【写真提供 : KEK素粒子原子核研究所/東京大学宇宙線研究所】
ハイパーカミオカンデ計画の国際協力体制について説明をするDi Lodovico教授(Queen Mary University of London)【写真提供 : KEK素粒子原子核研究所/東京大学宇宙線研究所】

カミオカンデ実験以来のニュートリノ実験の国際協力の歩みについて説明するWalter教授(Duke University)【写真提供 : KEK素粒子原子核研究所/東京大学宇宙線研究所】
ハイパーカミオカンデ計画構想の具体化に向けて協力・推進する旨の覚書を取り交わした山内正則 素粒子原子核研究所長(左)と梶田隆章 宇宙線研究所長(右)
13カ国の代表者からなる国際代表者委員会と国際運営委員会【写真提供 : KEK素粒子原子核研究所/東京大学宇宙線研究所】
クロージングにてハイパーカミオカンデ共同研究グループ結成を宣言する中家剛教授(京都大学)【写真提供 : KEK素粒子原子核研究所/東京大学宇宙線研究所】
ハイパーカミオカンデ共同研究グループの結成に拍手する参加者一同【写真提供 : KEK素粒子原子核研究所/東京大学宇宙線研究所】
ハイパーカミオカンデ国際共同研究グループのメンバー【写真提供 : KEK素粒子原子核研究所/東京大学宇宙線研究所】

用語解説

ハイパーカミオカンデ国際共同研究

13カ国の研究機関や大学が参加する、次世代大型ニュートリノ実験計画です。 国際研究プロジェクトとして世界の研究者が協力し、2025年の実験開始を目指しています。

13カ国の内訳は次の通りです : ブラジル、カナダ、フランス、イタリア、日本、韓国、ポーランド、ポルトガル(オブザーバー参加)、ロシア、スペイン、スイス、イギリス、アメリカ (アルファベット順)

現在、日本ではスーパーカミオカンデ実験による大気ニュートリノ・太陽ニュートリノの研究やT2K実験によるニュートリノ振動の研究が行われています。 ハイパーカミオカンデ計画では、スーパーカミオカンデに代わる100万トン級大型水チェレンコフ検出器を建設し、J-PARCからの大強度ニュートリノビームと組み合わせて、「素粒子の統一理論」および「宇宙における物質の起源と進化の謎」に挑戦します。 特にニュートリノにおけるCP対称性の破れ(粒子と反粒子の違い)の発見と共に、素粒子の大統一理論に迫る陽子崩壊の発見を目指します。

また、ニュートリノ反応の研究、大気ニュートリノ観測、宇宙ニュートリノ観測、ニュートリノ天文学を総合的に展開することで、素粒子物理学の新たな展開と、原子核物理学、宇宙物理学、天文学に新たな知見をもたらすことを目指します。

スーパーカミオカンデ実験

東京大学宇宙線研究所が国内外の大学・研究機関と共同して推進する国際協力実験です。 岐阜県飛騨市神岡鉱山内の地下1000mに設置された世界最大規模の5万トン水チェレンコフ検出器「スーパーカミオカンデ」を用いて大気ニュートリノ、太陽ニュートリノ、陽子崩壊の研究を行っています。

ニュートリノは、はじめある種類だったものが、長距離を飛行する間に別の種類のニュートリノに変化することがあります。 これは「ニュートリノ振動」現象と呼ばれています。 1998年に大気ニュートリノのニュートリノ振動を世界で初めて発見し、2001年には太陽ニュートリノのニュートリノ振動の発見、2005年には加速器で作った人工ニュートリノのニュートリノ振動の発見など世界のニュートリノ振動実験をリードし続けています。

また、物質に働く4つの力のうち、3つの力(強い力、弱い力、電磁気力)を統一的に説明する大統一理論で予言されている、陽子の崩壊現象の探索も行っています。

T2K長基線ニュートリノ振動実験

本機構と東京大学宇宙線研究所が共同ホストし、国内外の大学・研究機関と共同で推進する国際協力実験です。 11カ国から約500名の研究者が参加しています。

T2K実験では、大強度陽子加速器J-PARC(茨城県東海村)を使ってミュー型ニュートリノを大量生成し、295km離れたスーパーカミオカンデ検出器(岐阜県飛騨市)で測定することで、「ニュートリノ振動」の研究を行っています。

2013年には、加速器で作ったミュー型ニュートリノが電子型ニュートリノに変化するニュートリノ振動現象を世界で初めて測定しました。 今後は、ミュー型ニュートリノの反粒子である「反ミュー型ニュートリノ」を使って同様の実験を行うことで、ニュートリノのCP対称性の研究を世界に先駆けて行います。

関連記事

関連記事

関連リンク