Shota Takahashi

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2016年1月28日に開かれたブレークスルー賞受賞祝賀会でコメントする西川公一郎KEK名誉教授/撮影:髙橋将太(素核研広報)

2016年1月28日に開かれたブレークスルー賞受賞祝賀会でコメントする西川公一郎KEK名誉教授/撮影:髙橋将太(素核研広報)

西川公一郎KEK名誉教授(元・素粒子原子核研究所所長)が2016年ブルーノ・ポンテコルボ賞を受賞しました。 受賞理由は「ニュートリノ振動現象の研究とT2K実験、Daya Bay実験、RENO実験によるニュートリノ混合角 θ13の測定への多大な貢献」です。

今回の賞は中国・Daya Bay実験の Yifang Wang氏(IHEP)と韓国・RENO実験のSoo-Bong Kim氏(SNU)との共同受賞です。 授賞式は2017年9月にロシア・ドゥブナのJINR研究所で開催されます。


西川公一郎氏と長基線ニュートリノ振動実験

西川氏はK2K実験およびT2K実験を立ち上げた初代の実験代表者です。 2009年から2012年までは素粒子原子核研究所の所長を務めました。

K2K実験、T2K実験ともに加速器で生成した人工ニュートリノを使ってニュートリノ振動現象の解明を目指す長基線ニュートリノ振動実験です。

K2K実験は1999年から2002年まで行われた、KEKつくばキャンパスの陽子加速器で生成したニュートリノビームを東京大学宇宙線研究所のスーパーカミオカンデ検出器に打ち込む実験です。 世界初の人工ニュートリノを使った長基線ニュートリノ振動実験として注目され、これまで自然界に存在する太陽ニュートリノや大気ニュートリノでのみ確認されていたニュートリノ振動現象を、人工ニュートリノでも高い精度で検証し、精密測定への道標を築きました。

T2K実験は2009年に開始され、現在も進行中の実験です。 KEKとJAEAが共同で東海村に建設した大型陽子加速器施設J-PARCで生成したニュートリノビームをスーパーカミオカンデに打ち込みます。 K2K実験の約50倍のニュートリノ生成能力を持つ加速器を使うことで、これまで未発見であった電子ニュートリノ出現モードの兆候を2011年に観測、翌2012年にはこれを確定することで、大きなニュートリノ混合角θ13を実証、ニュートリノ振動現象理論の確立に貢献しました。 現在では、こうした研究をさらに深めて、宇宙創生時から今に至るまでに消失してしまった反物質の謎を探るために、ニュートリノにおけるCP対称性の破れの発見を目指しています。


ブルーノ・ポンテコルボ賞

この賞は、素粒子物理学分野の研究について、ロシア・ドゥブナのJINR研究所から贈られます。 ニュートリノ物理学の開拓者であるブルーノ・ポンテコルボ(Bruno Pontecorvo)氏を追悼して、1995年に設立されました。


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