H.Tada

所要時間:約4分

ワークショップの様子。初めに田中香津生 助教(東北大学、写真中央)が宇宙線と実習概要を解説しました。本ワークショップはお茶やお菓子をつまみながら気軽な雰囲気で行われました。 /<i class='fa fa-copyright' aria-hidden='true'></i> KEK IPNS

ワークショップの様子。初めに田中香津生 助教(東北大学、写真中央)が宇宙線と実習概要を解説しました。本ワークショップはお茶やお菓子をつまみながら気軽な雰囲気で行われました。 / KEK IPNS

2019年1月12日、13日に仙台と東京で「宇宙線探索ワークショップ探Q」が開催され、2日間合わせて44名(高校生関係者含む)の中高生が全国から参加しました。

探Qとは、宇宙線観測に興味のある全国の中学・高校・高専の学生に宇宙線検出器を用いた実験を体験してもらうと共に、全国の学生のネットワークを形成して共同で研究を行うことを目的とした活動です。探Qは大学・研究機関側も中学・高校・高専側も、より幅広いネットワークを形成し、互いに協力して研究活動を進める事を狙いとして、KEKや東北大学サイクロトロン・ラジオアイソトープセンターの研究者らで発足されました。

2回目となる探Qのワークショップは2日に渡って場所を変えつつ開催されました。1月12日には仙台市にある東北大学サイエンスキャンパス、その翌日の13日には東京都にある広尾学園中学校・高等学校にてワークショップが開催されました。

ワークショップのメインイベントは、探Qスタッフが制作した宇宙線検出器を用いた宇宙線計測実習です。今回使用した検出器は、東北大学の大学生と共に制作したものです。制作過程の中で、大学生・大学院生にも検出器の開発研究ノウハウを習得してもらうことや新技術の開発に繋げることも探Qのもう1つの目標です。

東京会場での実習では、参加者は4班に分かれて建物の上層階と地上で宇宙線が届く頻度に変化があるか計測しました。計測の後、スタッフの研究者や班のメンバーで議論を重ね、各班測定結果とその考察を発表しました。

宇宙線計測実習の風景。パソコンの上に乗っている青い機器が計測器です。宇宙線を検出すると白く光るので、1分あたりに光った回数を数えることで宇宙線が飛来する頻度を計測します。

宇宙線計測実習の風景。パソコンの上に乗っている青い機器が計測器です。宇宙線を検出すると白く光るので、1分あたりに光った回数を数えることで宇宙線が飛来する頻度を計測します。

研究者スタッフと議論する参加者。

研究者スタッフと議論する参加者。

実習の後、探Q発足人の1人である東北大学サイクロトロン・ラジオアイソトープセンターの田中香津生 助教と共に、現在宇宙線探索活動を行なっている早稲田大学本庄高等学院と広尾学園高等学校の生徒による宇宙線探索活動紹介が行われました。さらに、KEK素粒子原子核研究所の上野 一樹 助教が、本物の重箱を再利用して作成した宇宙線検出器OSECHIを紹介すると、参加者は皆意外な日用品も研究の道具になる事に驚き、興味を示していました。

早稲田大学本庄高等学院の生徒(写真左)と広尾学園高等学校の生徒(写真右)による宇宙線探索活動の紹介(取材協力:早稲田大学本庄高等学院、広尾学園高等学校)。

早稲田大学本庄高等学院の生徒(写真左)と広尾学園高等学校の生徒(写真右)による宇宙線探索活動の紹介(取材協力:早稲田大学本庄高等学院、広尾学園高等学校)。

宇宙線検出器OSECHIを紹介する上野 一樹 助教(KEK素核研、写真左から3番目手前)。机上にある黒い重箱がOSECHIです。

宇宙線検出器OSECHIを紹介する上野 一樹 助教(KEK素核研、写真左から3番目手前)。机上にある黒い重箱がOSECHIです。

ワークショップの最後には、海外から駆けつけた研究者との交流の時間も設けられました。主にアメリカで行われているQuarknetというアウトリーチ活動について、実習の班ごとに英語の文献を参照に海外の研究者と英語も交えながら調べ、まとめた内容を発表しました。

ワークショップ終了後の参加者アンケートからは、「高校生でも大学の先生方と繋がってこんなに深い研究になるのか!と驚きました。」、「普段は体験できないことを体験できて楽しかったです。また参加したいです。」といった感想が寄せられました。

次回の探Qイベント”SOKENDAIセミナー「探Q 宇宙線で探る宇宙の神秘」”は、2020年2月24日(月・祝)に神奈川県立青少年センター(2階) スタジオHIKARIにて開催されます。現在お申し込みを受け付け中です(締め切りは2月12日(水)、下記のリンク参照)。どうぞお気軽にお越し下さい。


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