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図:論文賞受賞論文で報告した二重ラムダ核の事象「美濃イベント」の写真乾板中の画像

図:論文賞受賞論文で報告した二重ラムダ核の事象「美濃イベント」の写真乾板中の画像

2021年3月29日:画像を追加しました。

J-PARC E07実験グループが2019年に「Progress of Theoretical and Experimental Physics」誌(日本物理学会が出版)へ掲載した論文が、第26回(2021年)日本物理学会論文賞を受賞しました。

https://www.jps.or.jp/activities/awards/ronbunsyo/ronbun26-2021.php

通常、原子核は陽子と中性子でできていますが、そこにストレンジクォーク1つを含む「ラムダ粒子」が2つ入ると「二重ラムダ核」と呼ばれる超原子核(ダブルストレンジ核)になります。J-PARC E07実験では、二重ラムダ核の中でもベリリウム原子核(陽子が4個、中性子が4,5,6個のいずれか)を芯とする新しい核種を発見しました。芯核がヘリウム4原子核(陽子2個、中性子2個)である二重ラムダ核はこれまでに見つかっており、ラムダ粒子間の核力は弱い引力であることがわかっていました。ですが、新種の二重ラムダ核の発見によりラムダ粒子間の核力が引力であることが確認できました。また、芯核の違いによる二重ラムダ核の状態への影響やラムダ粒子間に働く核力に関する新しい実験的情報が得られました。
成果内容の詳細は以前のプレスリリースをご覧ください。

https://www.kek.jp/old/ja/newsroom/2019/02/26/1000/

J-PARC E07実験は、「二重ラムダ核」やストレンジクォークを2つ含む「グザイ粒子」が入った「グザイ核」などストレンジクォークが2つ含まれる超原子核を探索・観測し、ラムダ粒子やグザイ粒子に働く核力などを調べることを目的としています。2021年3月にも「グザイ核の質量の決定」の成果を発表しました。

https://www.kek.jp/ja/press/20210215-2/

J-PARC E07実験グループはさらに多くの「ダブルストレンジ核」の発見・観測を目指して、解析を進めています。多くの新たな「ダブルストレンジ核」の観測によって、核力の性質・起源や、核力が主な役割を果たしている原子核の成り立ち、中性子星内部のような高密度物質の理解が深まることが期待されます。


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