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インフレーションは、初期のミクロな宇宙をマクロな大きさまで引き延ばし、宇宙のエネルギーを物質に変化させた。しかその際には物質と反物質は同量作られたと考えられていて、いずれ完全に対消滅する運命だった。著者たちは、インフレーション後の相転移が物質と反物質の量のわずかな不均衡を生じさせる可能性について議論している。そのような相転移が、「宇宙ひも」と呼ばれるゴム紐のような網状構造を作り出したとし、宇宙ひもからの重力波は相転移後138億年を経て、初期の高温高密度の宇宙を通り抜け今日の我々のもとに到達していると考えられる。そのため、現在稼働中もしくは将来の重力波観測実験で発見される可能性が高い。 (Original credit: R. Hurt/Caltech-JPL, NASA, and ESA Credit: Kavli IPMU - Kavli IPMU modified this figure based on the image credited by R. Hurt/Caltech-JPL, NASA, and ESA)

インフレーションは、初期のミクロな宇宙をマクロな大きさまで引き延ばし、宇宙のエネルギーを物質に変化させた。しかその際には物質と反物質は同量作られたと考えられていて、いずれ完全に対消滅する運命だった。著者たちは、インフレーション後の相転移が物質と反物質の量のわずかな不均衡を生じさせる可能性について議論している。そのような相転移が、「宇宙ひも」と呼ばれるゴム紐のような網状構造を作り出したとし、宇宙ひもからの重力波は相転移後138億年を経て、初期の高温高密度の宇宙を通り抜け今日の我々のもとに到達していると考えられる。そのため、現在稼働中もしくは将来の重力波観測実験で発見される可能性が高い。 (Original credit: R. Hurt/Caltech-JPL, NASA, and ESA Credit: Kavli IPMU - Kavli IPMU modified this figure based on the image credited by R. Hurt/Caltech-JPL, NASA, and ESA)

カリフォルニア大学バークレー校教授を兼ねる東京大学国際高等研究所カブリ数物連携宇宙研究機構 (Kavli IPMU) の村山斉 (むらやま・ひとし) 主任研究者ら米国、日本、ドイツ、カナダの研究者からなる研究グループは、宇宙初期の相転移の際に出来たとされる「宇宙ひも」から生じる重力波を観測することで、相転移がニュートリノに物質と反物質の入れ替えを可能とさせたとする従来の理論を実証できることを指摘しました。この重力波は、欧州や日本で将来計画として検討されている宇宙重力波望遠鏡によって検出できる可能性があり、もし観測できればこの宇宙が物質優勢になった謎の解明につながると期待されます。本研究成果はアメリカ物理学会の発行するフィジカル・レビュー・レター誌 (Physical Review Letters) に2020年1月28日(米国東部時間)付で掲載されました。また、注目論文としてEditor’s Suggestionに選定されました。Editors’ Suggestion は編集者が選抜するもので、特に重要かつ興味深い成果と判断された論文が選ばれます。

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