所要時間:約2分

図1. LHCの陽子陽子衝突点とFASERν検出器の設置位置

図1. LHCの陽子陽子衝突点とFASERν検出器の設置位置

ニュートリノは、極端に小さい質量を持ち世代間で大きく混合しているなど異質な存在であり、未だ謎が多く、未知の枠組みの解明への手がかりとなることが期待されています。1GeV程度のニュートリノを研究する大型のハイパーカミオカンデ計画が進行中ですが、一方で1TeV(1000GeV)程度の高エネルギー領域でのニュートリノ研究は未開拓であり、衝突型加速器(コライダー)からのニュートリノはこれまでに直接観測されたことがありませんでした。本研究では、欧州原子核研究機構(CERN、セルン)の大型ハドロンコライダー(LHC)を用いて未開拓の高エネルギー領域でのニュートリノ研究が可能なことを見出し、LHCでのニュートリノ実験を初めて立ち上げました。現在の加速器によって生成できる最高エネルギーのニュートリノを研究し、未知の高エネルギー領域において3種類のフレーバーのニュートリノに素粒子標準理論を超えた物理の影響があるかを検証することを目指しています。

九州大学基幹教育院の有賀智子助教、千葉大学大学院理学研究院・ベルン大学AEC-LHEPの有賀昭貴准教授、九州大学先端素粒子物理研究センターの音野瑛俊助教、高エネルギー加速器研究機構(KEK)素粒子原子核研究所の田窪洋介研究機関講師、名古屋大学大学院理学研究科・素粒子宇宙起源研究所の中野敏行講師、同大学未来材料・システム研究所の中村光廣教授、六條宏紀特任助教、佐藤修特任講師、そして稲田知大博士研究員らを始めとするFASER(フェイザー)国際共同実験グループは、史上初めて世界最大・最高エネルギーの衝突型加速器LHCからのニュートリノ反応候補の観測に成功しました。

本研究成果は、2021年11月24日(EST)に米国科学雑誌「Physical Review D」に掲載されました。

詳しくはこちらをどうぞ。

プレスリリース本文


リンク

論文情報

雑誌名: Physical Review D
タイトル: First neutrino interaction candidates at the LHC
著者: Akitaka Ariga, Tomoko Ariga, Tomohiro Inada, Mitsuhiro Nakamura, Toshiyuki Nakano, Hidetoshi Otono, Hiroki Rokujo, Osamu Sato, Yosuke Takubo, et al.
DOI: 10.1103/PhysRevD.104.L091101

関連リンク

研究グループの関連ページ