「レゴでサイエンスコミュニケーション」東大レゴ部片桐部長インタビュー

 

1月24日(月)、文部科学省の広報展示施設「情報ひろば」で行われているKEKの企画展示に、新しい展示物がお目見えしました。レゴブロックでできた BelleⅡ測定器の模型です。この模型を手がけたのは、東京大学レゴ部部長の片桐悠自さん(工学部建築学科3年生)。「実際の研究に携わっている方々に も納得していただけるようこだわりながら制作しました。物理の専門ではないので少し心配ですが、作っているときはとても楽しかったです」

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図1 設置作業を行う、片桐東大レゴ部部長

東大レゴ部はレゴブロック好きな東大生によって結成された有志サークルです。約5万ピースで作られている安田講堂や、 瓦の曲線まで美しく再現されている東大赤門、現在本物の都庁に展示中の東京都庁など、様々なレゴの作品を制作、発表して来ました。昨年の駒場祭では、「国 際宇宙ステーション」と「小惑星探査機はやぶさ」を展示。東京大学広報室によると、レゴ部の活動は日本のみならず、世界から注目されていて、様々な取材依 頼が舞い込んでいるとのこと。テレビ番組で東大レゴ部の名前を耳や目にした方も多いかもしれません。

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画像提供:東大レゴ部

安田講堂

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画像提供:東大レゴ部

東京都庁

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画像提供:東大レゴ部

小惑星探査機「はやぶさ」

図2

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図3 レゴ製東京スカイツリーと片桐東大レゴ部部長
(東京スカイツリー前にて)

作品を制作するには、まず題材の実物を見て構想を練るそうです。「はじめに手持ちのパーツで試作して、そこから必要なパーツを割り出します」。レゴ ブロックには、見慣れたレンガ型の長方形パーツの他にも、大きさや厚みが異なるパーツや、スロープやアーチなどの曲線を表現できるパーツなど、様々なもの があります。作りたいものの部分を表現できるよう、必要なパーツを考えるというわけです。「本制作に入った後も、試行錯誤を繰り返していて、途中で大幅な 変更もあったりします」。片桐さんは、BelleⅡの制作と並行して「東京スカイツリー」も組上げた。「だいたい構想1カ月、制作期間3カ月ぐらいでしょ うか。300分の1サイズですが、僕よりはるかに大きいです(笑)」。

このBelleⅡ測定器に使用されているレゴブロックの数は約1万ピース。縮尺は40分の1です。Belle測定器の高さは約8メートルあるので、 ちょうどレゴの人形が身長165センチの研究者、ということになります。実際につくばキャンパスで実物を見学し、細かい部分までレゴで再現してもらいまし た。「正面の鉄のドアの部分(エンドヨーク)が意外に手ごわかったです。円形な模様をきれいに出すためのアーチのパーツが少なくて何度か組み直しまし た」(片桐氏)。測定器の内部が空洞になるよう設計を工夫して軽量化を図るとともに、内部に青く光るレゴパーツを使って、粒子ビームの衝突のイメージが表 現されています。

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図4 設置された「レゴブロック製BelleⅡ測定器」

KEKでは現在、加速器システム「Bファクトリー」の高度化に向けて、KEKB加速器とBelle測定器の解体作業が進められています。今回作って 頂いたのは2013年の完成を目指している後継の測定器「BelleⅡ」です。「サイエンスコミュニケーションの一端に関われたことを大変光栄に思いま す。もともと科学が好きでレゴでフラーレンとかを作っていたりしたので...。また機会が何かあったら、是非やってみたいですね」。クォークの原理やビッグバ ンの生成モデルなど科学の概念的な面白さも、レゴで視覚的に伝えていけたら面白そう、と語る片桐さん。これからの東大レゴ部の活動に注目しましょう。

文部科学省「情報ひろば」

〒100-8959 東京都千代田区霞が関3-2-2
銀座線「虎ノ門駅」 11番出口 直結
千代田線「霞ヶ関駅」 A13番出口 徒歩5分

開館時間:
月曜~金曜 10時~18時
(入館は閉館の30分前まで)
※ 土曜日、日曜日、祝日休館
入館料:
無料

また、秋葉原の献血ルーム「akiba:F」で「大レゴ展 ~東大LEGO 部の作品~」が開催されており、東大赤門やスカイツリーが展示されています。(開催期間:H23年1月13日~4月13日予定)

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