量子ビーム実験を体験、サマーチャレンジ秋の実習

 

11月23日(金)、24日(土)、今夏に行われたサマーチャレンジのビーム実習が行われ、大学生24名が参加しました。このビーム実習は昨年から実施され、今年は放射光を利用するフォトンファクトリーに加え、中性子・ミュオンを利用する物質・生命科学実験施設でも行われました。

サマーチャレンジは、大学3年生を主な対象として基礎科学を担う若手の育成を目的に行っているサマースクールで、今年は8月20日から28日まで「素粒子・原子核コース」と「物質・生命コース」に分かれて実施されました。夏期は加速器が運転停止しているため、ビームを使用しない演習を行いましたが、より実際の研究に近い体験をするため、「物質・生命コース」では加速器の運転している秋にも放射光・中性子・ミュオンを用いた実習を行いました。

6つある課題の1つ、「高温超伝導体のミュオンスピン緩和を測定してみよう」では夏の演習で学生が作成したYBCOの超伝導体試料を用い、常伝導から超伝導へ変化する相転移や、磁性体試料と超伝導体試料の違いなどを測定しました。参加学生は、自ら作った試料をビームラインに設置、ビーム照射、データの取得、解析という、研究者が行っている一連の手順を体験しました。夏の実習で、自然に降ってくる宇宙線ミュオンを用いて苦労してミュオンスピン緩和を測定していた学生は、ビームラインから出てくるミュオンのデータを見て「これ、補正前ですか!?」と驚いた様子。加速器から得られるミュオンは向きもエネルギーも揃っているので、ノイズの少ないデータを得ることができます。データ解析から、試料中の磁場がどのように変化していくかを調べていきます。時間内ギリギリまでデータを取り、解析の残りは宿題として持ち帰りました。


試料をセッティングする様子。


データを見ながら、実験の進行を確認。

「このまま帰すのが惜しい。残って研究者になって欲しい。」担当教員が思わずそう漏らしてしまうほど熱心に取り組んでくれた学生の皆さん。今回のサマーチャレンジ後、ある演習グループでは参加者全員が大学院への進学を希望するなど、実習での経験が彼らに少なからず影響を与えたと言えそうです。数年後、研究者として活躍する姿が今から楽しみです。

関連サイト

サマーチャレンジ
サマーチャレンジ2012 量子ビームを用いた秋の実習
放射光科学研究施設 フォトンファクトリー
J-PARC/物質・生命科学実験施設

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