放射光実験を体験、サマーチャレンジ秋の実習

 

11月26日(土)、27日(日)、今夏に行われたサマーチャレンジの放射光を利用した実習が行われ、大学生24名が参加しました。

サマーチャレンジは、大学3年生を主な対象として、基礎科学を担う若手の育成を目的に行われているサマースクールで、今年は8月19日から27日まで「素粒子・原子核コース」と「物質・生命コース」に分かれて実施されました。このサマーチャレンジでは、現役の研究者による講義と、実際の実験施設を利用し実験を行う演習を行い、最終日には発表・討論を行うという、研究の流れを体験するプログラムとなっています。夏期は加速器が運転停止中のため放射光を利用しない演習を行いましたが、より実際の研究に即した実験を体験するため、加速器の運転している秋に放射光実習が行われました。

7つある課題の1つ「タンパク質の形を見てみよう」では、夏の演習で学生が卵白から精製、作成したリゾチームというタンパク質の結晶を用いて立体構造の解析を行いました。実際に結晶を1つずつビームラインに設置し、放射光の照射、回折データの取得、解析という研究者が行っている一連の手順を追体験しました。夏に行ったデータ解析とは違う手法で解析し、きれいな電子密度図が現れた時には「おー」と思わず歓声が上がりました。今回は限られた時間での実習だったため、アミノ酸の配置や立体構造の決定は宿題となり、学生らは今後大学に戻ってからも、しばらく実習の余韻を味わうことになりそうです。

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タンパク質の結晶に放射光を当て、回折データを取得

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光触媒表面の電子状態や構造を見るため、放射光を当てる装置の中を確認

また「超高圧力が切り開く極限の世界」を担当した亀卦川卓美(きけがわ たくみ)KEK物構研講師は「どの分野でもそうですが、サマーチャレンジとこの放射光実習では、サイエンスを教科書のように系統的に学習することはできません。でも、自らの手で測定し、解析することで、サイエンスを確かな手ごたえのある実体として掴めたと思います」と学生の様子を見て語りました。

ある参加者は夏にサマーチャレンジを体験後、大学院に行くことを決意し、今回の放射光実習までの間、大学院や他の研究所など見学して回ったそうです。これは、サマーチャレンジがKEKにいる間だけの単なる体験ではないことを物語っています。数年後、今度は研究者としてKEKを訪れてくれるのを待っています。

関連サイト

サマーチャレンジ
放射光科学研究施設 フォトンファクトリー

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(2)https://www.kek.jp/intra-e/map/annai/prime.html

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