サイクロトロンでは、加速用の高周波電場を作る周波数も磁場も一定ですが、さらに高いエネルギ−を得るには、粒子の軌道半径を何倍も大きくしなければなりません。そうしたとき、サイクロトロンでは、粒子軌道がらせん状であるため、巨大な磁石が必要となってしまします。これを避けるために、円形軌道の半径を一定にするかわりに、粒子が加速されるとともに、磁場を強くして行く方式がとられました。
それと同期して、加速ギャップの周波数も変える。これが、シンクロトロンです。 左の図に、大型のシンクロトロンの構成を示しました。加速粒子を円形軌道に乗せるための多数の偏向電磁石と粒子を加速するための電極に相当する高周波加速空洞から構成されています。加速粒子をイオン源からビームとして取出し、線形加速器を使って、あるエネルギーにまで加速した後、円形軌道に打ち込みます。このとき、円形軌道上の偏向電磁石の磁場の強さは、最小にします。ビーム粒子は、円形軌道を周回するたびに、加速空洞を通過し、その度に、加速されエネルギーが増加して行きます。それに合わせて、磁場も増加させ、同じ円軌道を周回するように調整します。そして、最高エネルギーに達した時、円形軌道から離脱させ、外部へビームとして取り出します。
こうして、シンクロトロンは、円軌道の半径を大きくすることで、より高いエネルギーにまで粒子を加速することができるのです。しかし、一つの円軌道のシンクロトロンでは到達エネルギーに限界があります。そこで、下図のように何段かの円形加速器で、次々とエネルギーを上げるブースター方式が使われています。


図2.ブースター方式による高エネルギー加速器

(1) 偏極ビーム用前段加速器 (1) '前段加速器
(2) 線形加速器 (3) ブースター
(4) 主リング−0.8秒で約50万回まわる
(地球を約4回りする距離)

図3.KEKの12GeV陽子シンクロトロン


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