ラザフォードは、原子核を発見した際、水素の原子核は「正電荷の電子」("H粒子"とその頃呼ばれていました。現在でいう「陽子」です。)から成り立っており、例えばヘリウムの原子核(α粒子)は、4つのH粒子と2個の電子が電気的に結合して+2の電荷を持っていると考えていました(He = 4H + 2e)。一般的に、あるXという原子核が質量数Aと電荷Z(原子番号)をもっているとすると、
X = A・H + (A-Z)・e
と表されると考えていたわけです。この原子核の模型は、当時知られていた、原子核の重さ(質量数)、電荷、大きさなどを、当時発見されていた粒子と力(電磁気力と重力)によって、うまく説明するものでした。この模型は、また、原子核からβ線(電子)が放出されるという事実(後述)も説明しています。
しかし、その後1920年代の後半にかけて、この模型の色々な矛盾点が判ってくるようになりました。これを解決したのが1932年のチャドウィック(J. Chadwick)による「中性子」の発見でした。彼は、α線をベリリウム標的に当てた際に発生する電気的に中性の放射線が陽子(水素原子の原子核)とほぼ同じ質量を持つ中性子であることを発見しました。

この中性子の発見の直後(1932)に、ハイゼンベルグ(W. Heisenberg)は、原子核が陽子(p)と中性子(n)から成り立っているという模型を提唱しました。この模型では、
    X = Z・p + (A-Z)・n
でありN=A-Z個の中性子とZ個の陽子からなると考えます。これが、現在でも正しい原子核の構成です。記号では、と書き表します。例えば、ヘリウム原子核は 、炭素の原子核はと表します。




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