原子核を加速器で加速して原子核どうしを正面衝突させると、衝突のエネルギーに応じて核物質の高密度状態や高温状態を生成できると考えられています。
核子当たりのエネルギーが100 GeVを越えるようなエネルギーで原子核を衝突させると(米国のRHIC加速器、欧州のLHC加速器などで可能)、原子核どうしが反応しあって通り過ぎた後に非常に高温の状態が生成されると期待されています。この状態では、ハドロンはそれを構成しているクォークやグルーオンが自由に行き来するプラズマ状態(クォーク・グルーオン プラズマと呼ばれる)に相転移すると考えられています。宇宙創世のビッグバンの直後には、これと逆過程でクォーク・グルーオン プラズマからハドロン相への相転移が起こったものと考えられています。

一方、もう少し低いエネルギー(核子当たり50 GeV)で原子核を衝突させると、お互いの原子核どうしがぶつかり合って核子が圧縮された状態が生成され、通常の原子核密度の数倍から十倍近い高密度状態が生成されると期待されています。このような高密度状態は、宇宙の中性子星と呼ばれる星において実際に実現されていると考えられていますが、その詳細な性質についてはまだ謎が多いのです。





素粒子(クォーク・レプトン)
陽子・中性子(ハドロン)
原子核
原子・分子
物質
生物
人間
地球
宇宙

原子核の発見
原子核の構成
ハイパー核とは
原子核の崩壊
原子核の形
高温高密度の原子核

copyright(c) 2008, HIGH ENERGY ACCELERATOR RESEARCH ORGANIZATION, KEK